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【終】残念王子と闇のマル

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そして自身が得意とするフラワーアレンジメントを特産土産とし、国を発展させた。

「しかも、私の名前を流暢に呼んでくれて…。」

麻流の言葉に、カレンが得意気な笑みを浮かべて胸を張る。

「妻の祖国の言葉くらい、完璧に喋れるようにならないとね!いつまでも国際共通語で甘えてたらダサいし。」

「そりゃいい心掛けだな。」

からかうような口調の艶やかな低い声が聞こえ、カレンは驚いてダナンの後ろを見た。

そこから、銀のマスクをつけた空が現れる。

「よ、久しぶり。」

頭領でなくなってからは国外に出ることがなくなっていた空の登場に、カレンは満面の笑顔を向けた。

「義父上!」

「ん。元気そうで何よりだな。」

麻流と全く同じことを言った空に、カレンは思わず声をあげて笑う。

「珍しいですね!こんなとこまで。」

言いながら自然と麻流を抱き上げるカレンに、空が黒水晶を三日月にした。

「おまえらの婚儀に出なくちゃなんねーからな。んで、俺らも新婚旅行行けてなかったから、ついでに今話題の観光地でも巡ろうかと思ってさ。」

その言葉通り、聖華までダナンの後ろから現れる。

「義母上!」

カレンは嬉しさのあまり、麻流をぎゅっと抱きしめた。

その瞬間、カレンの手から花束が落ちる。

「あ。」

慌ててそれを拾うと、カレンは麻流を降ろし、その前に跪いた。

「姫。お誕生日、おめでとうございます。」

相変わらずおとぎ話の世界のように美しいカレンに、麻流は頬を赤らめながら花束を受け取る。

その瞬間、歓声が上がり、花びらが舞った。

そして花火が打ち上がる周到な状況に、カレンと麻流が驚いて理巧をふり返る。

「いつの間に!?」

声を揃える二人に、理巧が瞳を三日月に細めた。

「義兄上が帰国されて、すぐ姉上の意識が戻られた後から用意していました。」

「2年前から!?」

再び揃う声に、ドッと笑いが起こる。

「姉上が熱心にリハビリに励まれていましたから。いつおとぎの国へ戻ると言われてもいいように、準備していました。」

淡々とした口調だけれど、どれだけ理巧がこの日を待ち望んでいたかがわかり、カレンと麻流の胸が熱くなった。

真っ直ぐな平坦な道のりがひとつもなかった二人の人生が、今ようやくひとつに重なり、歯車が噛み合う。

もう二度とその道が別れることがないよう、歯車が壊れてしまわないよう、二人はお互いを抱きしめ合い、誓いの口づけを交わした。