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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 66~70

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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (68)
 尾根路の嵐

 たまが、恭子のセーターの胸にもぐりこむ。
くるりと向きを変えたたまが、セーターの襟のすき間から、
ちょこんと顔を出す。
その顔が、いつになく真剣だ。

 『・・・空気が、重く澱んでいやがる。
 ヒメサユリの匂いに混じって、かすかにだけど、おいらが捨ててきた
 大嫌いなピーナツの匂いがする。
 雷がやってきて雨が降る前に、なんとか避難小屋へたどり着きたいもんだ』

 顏だけ出したたまが、鼻先をヒクヒク動かす。
かすかに漂っているピーナツの匂いを、ただひたすらに嗅ぎ分けていく。
たまに導かれる形で2人が、ゆっくり、濡れた斜面を歩き出す。
霧はあいかわらず濃密なままだ。