赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 66~70
「お姉ちゃ~ん.たち、居るかぁ~。山小屋のヒゲオヤジだぞ~。
お前さんたちを救助に来たぞ~」
男たちの声が、濃霧の中へ消えていく。
しかし。返事は帰って来ない。
男たちの頭上を、いきなり閃光が走る。
次の瞬間。激しい雷の音が、男たちの耳を直撃する。
「見たか、いまの閃光。まっすぐ横へ走ったぜ・・・」
「どうやら雷雲が頭上まで来たようだな。ぐずぐずしてはおれん。
早く発見しないと、俺たちまで危なくなる」
「ちょっと待て。なんだ・・・これは」
作業員が、ハイマツに結ばれたオレンジ色のテープを見つける。
草刈り作業をしていたときは、無かったものだ。
「ということはこれは、お姉ちゃんたちが結んでいったものだ。
ここへ戻ってくるための目印だ。
こいつがまだ、ここへ残っているということは、お姉ちゃんたちはまだ
この先に居るってことだ。
おい。ハイマツに結ばれた目印のテープを探せ。他にもあるはずだ。
ただし。足元には十分注意しろ。
東側の斜面は急だ。足を滑らすと、深い谷底へまっしぐらだからな」
20メートルほど進んだ先で、2つ目の目印を発見する。
上下2つに、きっちりオレンジ色のテープがハイマツに巻き付いている。
「おい。あったぞ。2つ目の目印だ。2つ結んである。
ということは、ここから進路をかえたようだ。
このあたりの枝道から、語らいの丘へ向ったようだな」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 66~70 作家名:落合順平