赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 66~70
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (69)
最悪の事態
飯豊山の天候は、時間とともに最悪へ向かっている。
発達した低気圧が飯豊連山一帯に、30m以上の強風をもたらすと告げた。
30メートル以上の風を、猛烈な風と呼ぶ。
屋外での行動は危険とされている。
多くの樹木が倒れる。電柱や外灯なども倒れることがある。
走行中のトラックが横転することもある。
発達した低気圧が雷雲を連れて、すこしずつ清子たちに接近している。
当の清子たちはまだ、この気象状態を理解していない。
しかし。このまま天候は悪化していくだろうと、本能的に察知している。
早めに行動して、山小屋へ戻りたい。
しかし。山での早急な行動は、そのまま破滅を意味する。
山で遭難した場合。その場にとどまり、動かずに救助を待つのが一番だ。
だが嵐の接近を前に、身体を守るものが何ひとつない草原で露営するのは
危険すぎる。
突風の直撃を受けたら、ひとたまりもない。
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 66~70 作家名:落合順平