赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 61~65
「やっぱり今日は荒れるのか。
となると俺たちも、これ以上、身動きすることができねぇ。
いいだろう、手伝うぜ。
何でもいいから言ってくれ。とりあえず何から片付ける?」
「雨が降りはじめる前に、外から先に片付けちまおう。
強風に飛ばされるまえにできる限り、外のモノを中へ運び込んでくれ。
長期戦に備えて、水場から水も確保しておきたい。
本格的な嵐になったら数日間は、閉じ込められる可能性がある」
「やっぱり擬似好天だったのかなぁ。
悪天候が終わり回復したとばかり思っていたが、天気図を
読み損なったようだ。
本格的な夏登山が始まる前に、登山道を整備しておこうなんて、
甘く考えたのが裏目に出た。
擬似天候は、冬の日本海側に見られる現象だからと油断したせいだ。
麓の気象台は、どんな見通しを連絡してきた?」
擬似好天とは悪天候と悪天候の間に短時間だけ、良い天候になることを言う。
悪天候が終わり、すっかり好天になったかのように錯覚させる。
そのため。このような名前がつけられた。
冬の日本海側によく見られる気象現象だ。
大陸から流れてくる低気圧が、日本海上で気流の乱れを起こす。
2つ以上の低気圧が同時に発生して、上陸した時などによく発生する。
擬似好天は魔の気象。
山のベテランでも騙されて、命を落としてしまうことがあると言う。
もっとも注意を要する気象のひとつ、と言われている。
(64)へつづく
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 61~65 作家名:落合順平