赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 61~65
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (62)
もしかしたら遭難?
それから15分が過ぎた。
2人の周囲にたちこめたガスは、一向に晴れない。
それどころか時間とともに、ますます濃密になっていく。
冷たい風に乗り、次から次へ谷底から湧きあがってくるガスの流れは、
まるで無限に続くような勢いを持っている。
「♪~涙果てなし、雪より白い・・・花より白い 君故かなし・・・・」
「なんなの清子。とつぜん歌なんか歌い始めて?」
「これです。
市さんが、『もしもの時のアイテム集』というのを入れておいてくれました。
取り出しやすいように、リュックの脇ポケットに入っておりました。
久保浩という歌手が唄った、霧の中の少女という歌詞です」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 61~65 作家名:落合順平