愛して欲しいと言えたなら
メル友・・・その3
しかしま~いきなりお相手なんて何を世迷言を・・・
「お相手ったって別にいいわよ」
「いいって事はなかんべ?」
だからどこの言葉よ
「この歳になると一人の方が気が楽なのよ」
「んでよ、実はあんたの事を気に入ってる子がいてよ」
ってか、人の話を聞きなさい!
「あら?あたしの事を気にってくれる人って、あたしってこれでもけっこうモテるのよ」
「んでよ、一度会ってみないかい?」
だから人の話を聞きなさいってば!
「別にいいってば」
「あんたの事を気に入ってる子ってのが他でもないうちの孫でよ」
「あい?」
「孫やいうてももう今年で35歳になるんだかや、3年前に離婚して戻ってきてるんよ」
「あら?いたかしら?見かけた事ないけど?」
「んま~仕事で日中はいないからやけど時々あんたを見かけてるみたいでな」
「へ~そうなん?」
「性格が真面目な子でな、仕事も真面目なんやけどちょっと内気な子なもんでよ」
「ふ~ん、でもなんで離婚したのよ?」
「あたしゃ、最初から孫の結婚には反対だったんじゃが息子夫婦がアホやもんでな」
「そうなの?時々お話とかするけど気さくでとっても良い人に思えるけど?」
「だからなんよ」
「だから?」
「んだ、息子夫婦も人が良いもんだからすっかりあの嫁に騙されてしまってよ」
「あい?」
「あたしゃ、すぐに気づいたんだけどよ、あたしの忠告なんか訊きゃしないときたもんだ」
「あい?あい?」
「猫かぶりなんてあたしみたいに人生長く生きてるもんにゃ通じんがよ」
「いや・・・お孫さんってもしかして男?」
「んだ、あんれ言わなかったっけ?」
「いま初めて聞いたわよ」
「んま~ババが言うのもなんだけど、あれでけっこう良い男だんよ」
だんよ・・・?
「ちょっとおばあちゃん?」
「なんや、コーヒーにはケーキってかい?悪いね、あたしゃケーキも好きなんだな」
「はいはい、ちょっと待っててね」
「ついでにコーヒーもお替り頂けるかね?」
「はいはい、ってか、おばあちゃん?あたし男よ?知ってるでしょ?」
「んなもん、気にしないわな、あたしゃあんたが気に入ってるんだから」
いや、気にするって普通は・・・違うかしら?
作品名:愛して欲しいと言えたなら 作家名:猫の雪遊び