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アテルマ国の真実

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第一章 異種国家

【このお話はフィクションであり、実際の国家、団体、個人とは何ら関りのあるものではありません。ご了承くださいませ】

 現在、世界には多種多様な国家が存在する。民主国家、社会主義国家、王国、それぞれの国がそれぞれの法律を持ち、独立国家として世界に君臨している。
 中には、他国へ脅威を与える国もあるだろう。そのために、国家間での安全協定や、国連のような、世界規模の社会規範が存在したりする。すべての国が平和というわけではなく、内乱で苦しんでいる国、難民を抱える国、困窮にあえいでいる国、国家という体裁だけが整っているだけの国だって存在している。
 では、国家の体裁も法律もしっかりしていて、内乱も難民も存在せず、困窮も見えていない国がどれだけ存在するというのだろう? また、表向きには平和で穏やかには見えるが、実際に中に入り込むと、尋常ではない法律に縛られていて、
――見せかけの平和――
 であると、思っている人がたくさんいる国も確かに存在している。
 ただ、それは、国家体裁を繕うために、見せかけを形成する力が働いているわけではない。あくまでも国家体制として自然の成り行きに任さている中で表からは見えていないだけである。もっとも、もし見えていたとしても、それは独立国家の体制にかかわること、他の国が介入することは許されない。主権侵害になりかねないからだ。世界規範の機関が一番問題とするのはそこである。いくら、表から見て専制君主が極端で、容認できるところではないとはいえ、勝手に介入することは主権侵害として許されないという規範があるからだ。
 もし、そこで、専制君主国が他国の侵略を狙っているという動きが見えた時、果たしてどう対処すればいいのか、永遠のテーマと言えるのではないだろうか? もちろん、現在の世界情勢を鑑みると、問題になりそうな国は少なくない。本当は、どこか強力な国を中心に多国籍軍を形成し、侵略を狙っている国家に対し、事前にけん制できるような体制が整っていれば、紛争も少しは防げるのかも知れない。
 また、他国侵略だけではない。内戦が続いている国も深刻だ。
 特に、隣接している国にとっては他人事ではない。いつ自分の国に、戦禍が及ぶか分からなない。もし、直接的な被害がなくとも、内戦によって引き起こされる問題は、難民問題である。
 完全に国境封鎖して、入国できないようにしてしまうのは、人道的に無理がある。かといって、受け入れを自由にしてしまうと、自らの国家も破たんしてしまう。自らが起こしたことではないのに、滅亡の危機に瀕するなど、あってはならないことである。
 そのため、内戦の危険性がある国に隣接しているところは、独自の政策を作っているところが多い。それは内陸になればなるほどあり得ることで、それだけたくさんの国と国境を接しているからだろう。
 独立国家の中でも、一番最近建国された国として、六角国の南部、東南アジアに隣接しているあたりに、いくつかの国家が成立した。多い時には六つの国がひしめいていたが、やはり、一気にたくさんの国が独立する時というのは得てして紛争や犠牲はつきものというべきか、最終的には四つの国にまとまった。
 そのほとんどは、六角国系か、東南アジア系の国から独立した政党が立ち上げた国であった。そう、かつての対戦の後に、六角国国民党が台湾で国家を樹立したような感じである。
 最初は六角国も、
「そんな国家は認めない」
 と言ってきていたが、本当は、
「紛争の絶えない問題の多い地域を切り離すことができた:
 と考えることもできる地域であった。
 六角国は、この国の建国に対し、国連に対し、様々な要求をしてきた。中には、
「さすがに認められないよな」
 と思うようなことも含まれていたが、それも六角国の計算の一つだった。
「一つくらい、無理難題もなければ、交渉の信憑性に欠ける」
 という発想で、ある意味、
「捨て駒」
 のような発想だったのだ。
 だが、強気な六角国は、国連や世界を欺き、
「しょうがないから、独立を認めてやる代わりに、その近くに六角国の絶対支配の国の樹立を認めさせる」
 ということに成功した。
 本当の狙いはここだった。
 元々、六角国の土地ではなかったところを、侵略するわけではなく、交渉するだけで勝ち取った。これほど効率のいいことはない。
「少ない投資で、最大の利益を得る」
 そんな経済学の基本に習っただけなのだ。
 しかもそこは他の国は知らなかったが、六角国独自の研究で資源が豊富なことは分かっていた。他の国から見て、
「別にどうでもいい地域」
 だったのだ。
 しかし、一部の著名人には、
「なぜ、六角国がその土地にこだわるか?」
 ということに疑問を感じていた人もいた。
「六角国が、そんなどうでもいいところをほしがるわけはない」
 と、計算高く貪欲な国家に対しての警鐘を鳴らしていたのだ。
 だが、それも後の祭りだった。
 六角国は、その国家の建国を宣言させ、表向きは独立国家としての体裁を保っているが、実質は六角国の属国であった。
 国連もそこまでは考えていなかった。できてしまえば、
「これじゃあ、六角国がかつてされたことを、今度は自分たちがしているだけではないか」
 と言われても仕方がないだろう。
 もちろん、それはかつての帝国主義時代のカメリス軍が、クーデターにより建国した「トンペイ国」と同じである。
 しかし、時代はあの当時とはまったく違っている。
 トンペイ国に対しては、研究が進んでいく中で賛否両論があるが、一般市民の認識として、
「ロシア南下の脅威に対して、国防からのやむにやまれぬ軍事行動であった」
 という意見が主流になっていた。
 それは、カメリスのみならず、世界的にも受け入れられていることであり、
「欧米列強のひしめくアジアでの生き残りが問題だったことに対しての正当性」
 と言われるようになっていた。
 だが、今回の六角国は、軍事行動を起こしたわけではなく、しかも、自国から独立しようとする国を容認するという寛大な対応に、世界も称賛に値すると見られているだけに、
「その代償を得ることは、当然の権利だ」
 として、問題にされるどころか、寛大な六角国を世界にアピールできた上に、平穏にほしかった地域を手に入れることができたという一石二鳥の出来事だったのだ。
 そんな六角国だったが、実はもう一つ、国家の独立を画策していた。
 実は、この地域には、かつてカメリスにかかわりの深い財閥の支配する地域があった。地域としては広大ではあったが、国家にするには、小規模すぎた。もちろん、地域としてこのまま君臨するつもりでいた財閥だったのfで、建国しようなどという大それたことは考えていなかった。
 しかし、六角国はなぜかこの地域に注目していた。六角国から独立したり、六角国の属国ができたりしていたこの時期と並行して、水面下で進められていたことだ。決して他に漏れてはいけない最大国家機密としてランクされていて、実は、六角国の属国を作るためのプロジェクトが立ち上がるよりも、もっと以前から進められていたことであった
 何度も大使を財閥に派遣し、
作品名:アテルマ国の真実 作家名:森本晃次