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新・覇王伝_蒼剣の舞い【第2話】

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 老人は、空を仰いでいた。
 頭巾を深く被り、表情は真っ白な髭と長い眉に隠れている。
 「___お前が、現れるとはの。ドラゴンの転生が目覚めたか?」
 前方に立つ男に、老人は僅かに口許を緩めた。
 「蒼剣の場所、話して貰おう。斗宿」
 「ほぅ、以前とは違うようだの。邪気に満ちておるわい」
 「黙れっ」
 男は、剣を抜き老人に振り下ろす。
 「未だ力までは蘇っておらぬようじゃな?何がお前を変えたか知らんが、蒼剣を奪っても何もならぬ。蒼剣を目覚めさせる為にはの」
 「ドラゴンの転生など、消してくれる」
 「お前には、できんよ。心宿」
 心宿の剣を、老人とは思えぬ身軽さで交わしながら斗宿は岩に飛び乗り、杖を立てた。
 「逃がすか!」
 金髪を靡かせ、心宿は飛躍した。
 「嘆かわしい事よ。ドラゴン七星、心宿」
 振り下ろされる剣よりも、斗宿の躯はすっと消えた。
 ____吾は、必ず蒼剣を手に入れる。何としても…!
 唇を噛み締め、心宿は拳を握り締めた。
 家に戻った斗宿は、再び白い髭の中で驚きの相を成した。
 「今日は、珍客が来るの」
 「悪かったな。相変わらずのクソ爺だぜ」
 「ほっほほほ、暫く見ぬうちに随分変わったの。清雅」
 「15年も会ってなきゃ当然だろ」
 「そんなになるかの。そちらの坊主は?」
 「初めまして、亮 拓海と云います」
 「亮?もしかして玄武さまの…」
 「父です」
 斗宿は、一拍おいてまた大袈裟に笑った。
 「清雅さま、僕何か変な事を云いました?」
 「だから云ったろう、変わり者の爺さんだと」
 「清雅、封印解かれたようだの」
 「やっぱりあんただな?俺の耳にあんなもんつけたのは」
 「そうじゃ。覇王陛下の命での」
 「どういう事だ?」
 「ドラゴンの転生を守る為じゃ。この四国には必要な存在ゆえ」
 「それと俺と、何の関係がある!?第一、龍王剣が何故突然変化するんだ」
 「蒼剣の目覚めに、ドラゴンの転生は欠かせぬ。わしの計算では、もう一つと同時に封印が解かれる筈だったがの」
 「これが蒼剣だと?」
 「そう、覇王へ導くと云う黒抄の黒王が欲しがっている剣じゃ」
 「こんなものの為に、おふくろは殺されたんだぜ」
 清雅は、ぎりっと唇を噛んだ。