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なんとなく歪んだ未来

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 すると、無言でつかさは、冷凍保存されているところに岡崎を案内すると、
「今から、お母さんを助け出します。そして、不治の病の薬を与えて、生き返ってもらいます」
 つかさは、未来から持ってきた機械を使って、テキパキと、冷静に事を進めた。
「お母さん。がんばって私を産んでね」
 と言って、つかさは母親を助け出すと、自分がそのまま冷凍保存の機械に入って、眠りに就いた。
 岡崎は、それを見ていると、後ろから一人の男性がやってくるのを感じた。
 愛梨は、助けられて、そのままフラフラと椅子に倒れこんだ。
 その男性は、岡崎に向かって、
「そこから離れなさい。今からこの装置を爆破します」
「えっ?」
 その男性は顔がハッキリと見えなかったが、どうやら、自分の父親であることに違いはなかった。岡崎は、そのことに触れることはない。
 男が装置を爆破すると、つかさはこの世から消えた。
「彼女は、未来に生まれてくるのさ。生まれ変わりになるんだ」
 その言葉を聞いて、岡崎は、未来になると、つかさに会えるように思えた。
「岡崎君、それが、時間を繰り返すというようなものなんだよ」
「どういうことですか?」
「岡崎君の未来はこの僕であり、つかさの未来は、彼女になるのさ。この世の中での輪廻のようなものだね」
 そういって、彼は冷凍保存から助けた女性を抱き起こし、どこへとも消えて行った。
 岡崎は、その時の女性と将来出会うような気がした。
 将来レポーターになった岡崎は、自分がインタビューした最初の相手がその時に男が助けた女、つまりはつかさの母である愛梨であるということを、分かっていた。
「お父さんは、結局『何となく歪んだ未来』を作っただけなんだな……」
 と、岡崎は呟いたのだが、本当に声になっていたのかどうか、分からない……。

                 (  完  )



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作品名:なんとなく歪んだ未来 作家名:森本晃次