小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 56~60

INDEX|6ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 「だから素人は困る。
 むかしのことだ。人参とごぼうと大根は、まったく同じ色をしていたんだ。
 ある日。人参とごぼうと大根がお風呂に入ることになった。
 「いちば~ん」。あわてん坊の人参が確かめもせず、一番先に風呂へ
 飛び込んだ。
 そしたら、お風呂が熱いこと、熱いこと。
 それでも人参は、真っ赤な顔で我慢しながら、熱い風呂にはいった。
 だから人参の色は、いまのような真っ赤になったんだ。
 次に入ったのがゴボウだ。「熱いお湯だなぁ~」。
 ごぼうは熱いのが嫌いなので、体も洗わず風呂から出てきた。
 それでゴボウは、黒い色をしているのさ。
 で、最後に入ったのが、大根だ』

 『ちょうどいい、湯加減だ。
 大根は最後に入ったので、熱いお風呂もちょうどいい温度になっていた。
 気持ちの良いお風呂だったので、きれいに体をあらい、
 おかげで真っ白になった。
 それで大根の体は今でも真っ白だと言いたいんだろう、お前は』

 『何だよ。知ってんじゃねぇか。
 清子っ。お前なぁ・・・・人の楽しみを途中で奪い取るんじゃねぇ。
 接客のプロになるというのに、人の話の腰を折るのは最低だ。
 それよりよ。ハクサンイチゲの周りで点々と咲いている、
 あの紫の花はなんだ?。
 なかなか風情があって、いい花じゃないか』

 『イイデリンドウ(飯豊リンドウ)と言うんだ。たま』恭子が近づいてくる。
近くで見せてあげるからおいでと、清子の懐からたまを抱き上げる。

 飯豊山にしか咲かないという飯豊リンドウは、ミヤマリンドウからの変種。
茎の部分が長く、地面をひくく這う。
途中から5cmから12cmほど、茎先が立ち上がる。
茎の上部に直径が20mm~30mmの薄紫色の花を、1個から4個ほど咲かせる。


 原種のミヤマリンドウは、沢筋などの少し湿り気のある場所に自生している。
イイデリンドウは、やや乾いた岩礫地や、小低木の群落の中に自生する。
飯豊山神社から、飯豊本山を経て、御西岳へ至る稜線上で
よく見ることができる。
特に烏帽子岳から北股岳、門内岳、地神北峰にかけた稜線の新潟県側斜面の
乾いた場所で、一面の群生を見ることができる。


(58)へつづく