赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 50~55
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (55)
三国の山小屋
「おっ、珍しいねぇ。美人が2人も登場するとは、今日はいい日だ。
三国の山は初めてかい。2人のお譲ちゃんたち」
山荘の前でひげの管理人が早くから2人の到着を待ち構えていた。
薪割の手はさっきから、ずっと止まったままだ。
そのためせっかくかいた汗も乾きはじめ、寒ささえ感じている。
久しぶりに聞く山での人の声に、たまも清子の胸ポケットから眠たそうな
顔を出す。
「こいつは驚いたねぇ。
美人2人だけかと思いきゃ、なんと子猫のおまけまでついているとは。
へぇぇ、なんとよく、見れば三毛猫じゃないか。こいつはさらに珍しい。
で、どうするんだ、あんたたち。
テントを設営するのなら、もう一つ先の山小屋まで足を伸ばすようだ。
だが泊まるだけなら、ここも上も同じことだ。
今日の宿泊予定は、あんたたちを入れても7人。
ここには40~50人が泊まれるから、今日だけはのんびり眠れるぞ。
んん・・・・どうした、姉ちゃん。
そんな顔して。何か気になるものでも見つけたか?」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 50~55 作家名:落合順平