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もやもや病 11

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103 背中から抱く

もう10何年も前になると思うけれど、愛知県で患者会の交流会に参加させてもらった

いくつかの話し合いの場に別れて、私はたぶん、高次脳機能障害のことで集まっているお母さん達の中に入った

その中で、1人のお母さんが、娘が時々私に怒りを向けて手が付けられなくなると言われた

みんなの話が順に回って、そのことについて何か言っても良いと言う時間に

おかあさん、お嬢さんが感情のコントロールが出来ずにお母さんに向かって手を出したり暴れたりするときは
面と向き合わずに、なんとか後ろの方から、抱きしめてあげて欲しい

後ろから肩を抱くなり手を前にしてお腹の方を支えるように抱くなりしたら
お母さんの体温も伝わる、お嬢さんは打とうと思っても自分の後ろに向けて打つことは出来ないから

大丈夫大丈夫、と声を掛けながらしばらく抱くことが出来たら、きっと落ち着くんじゃないかしら

そんなふうに話した

その愛知での集まりから、何年も経って、患者本人の集いに次男の付き添いで参加したとき、同じようにお母さんが参加していて

私のことを覚えている、愛知での集まりで私の言うことを聞いたという人が居て、それも又ビックリした

そんなふうに覚えていてくれたことが嬉しかった^^

このことは私の経験には無い、だからそんなふうに言ってもそれが出来るかどうかはわからなかった

でも、つかみかかるなり、打つなり、物を投げるなり怒っていたら、正面からは無理だと思った

話をするときだって、正面を向いて話をするより、並んで同じ方向を向いて話をした方が良いという場合もある

背中から抱くというのはきっと良い、と思ったから

高次脳機能障害の人がいつも怒るわけでは無いと思うし、暴れるわけでも無いと思う
たまたまそんなことがあったとき、どうにも出来ない思いを患者さん本人もわかっている
目と目を見てしまえば辛いのがわかる、目をそらして側に寄り添うこともきっと良いことなんじゃないかと

私の次男の高次脳機能障害の1つ、感情失禁は
幸いにも、笑うと言うことの感情失禁

笑わないような所で笑うとか、大きな声で笑う・・・
怒るよりましなんて思うけれど、人の笑いは、近所にはきっとイヤなこと

次男の部屋に向かって、おとなしくしなさいと声を掛ける
近所迷惑だから・・・
作品名:もやもや病 11 作家名:とことん