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もやもや病 10

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94 生まれる前にわかること

ずっと前から思っていた
人は、いつからか神様の領域まで侵してしまってるって

それが良いことなのか良くないことなのか、きっと当事者にしかわからない、と言うか、何か言う資格がないというか

赤ちゃん誕生のこと
出生前診断ということが、羊水検査で、しょうがいのある子、病気のある子が生まれることがわかるというのがあった

それと同時か遅れてかわからないけど
超音波、エコー検査でお腹の赤ちゃんのことがわかる

男の子か女の子かがわかるというのはもう今の時代仕方が無いのかもしれない、私は知りたくないけど

エコー検査というのは、妊婦さんに、出生前診断という重い気持ちを持たせずにされてしまうことだと思う
出生前診断はそれなりに、その気になっての検査だろうと
けれど、エコー検査で、たとえば四肢の欠損や心臓の異常とか、頭の状態とか
普通に産科検診で、心臓の音が元気ですよと言うつもりの、大きさがどのくらいに成長しましたよ、と言うつもりの妊婦にそのときの異常が目の当たりとされてしまうとしたら、それは大きなショックだろうと・・・

そういうこと前から思っていて

土曜日の親の会連絡会の勉強会は
非侵襲的出生前検査 NIPT についての話だった
遺伝の研究をされて、遺伝カウンセラーとしても、多くの方の相談を受けていらした先生のお話

お腹に針を刺さない検査・・・血液の検査になるという、その費用が、今は15万円から21万円だという
ダウン症の21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーという現状だけれど

その検査をするには適切な遺伝カウンセリングが必要と言うことだったけれど

検査の結果陽性と言われた98%の方の中絶があったという

先生は、私たち親の会の中でも、このことを話し合って欲しいと言われた

羊水検査の出生前診断の時もそれをすると言うこと、そのあと中絶すると言うことに、神の領域を侵したという気持ちになった

そんな中で、これは素直に受け取ってもらえるか、うまく説明できるかはわからないけど
そう、普通どんな人でも、遺伝子検査をしたら、7つぐらいの病気のもとは持っているものでそれが発症するかしないかというだけのこと、と言うのも聞いた
実際どんな検査をしたあとでも、生まれたあとの、事故も、後天性の病気もあることを思いながら聞いたけれど
私たちは病気の子どもを授かりながら、それは決して不幸なことではなく
病気や障害は、不便だけれど不幸じゃないとは、もうずいぶん前にどなたかが言われた言葉だけれど、まさしくそうだと・・・

人生経験の少ない若い両親に、今このお腹の子どもさんにもしも何かがあるとしたら、それは不幸だから生まないという選択につながってしまうことに問題は無いのかと

病気の本人には、また別の思いがあるとは思うけれど
親たちは、病気の子どもと一緒に成長し、多くの素晴らしい人たちと巡り会い、きっと良い人生だったと思っている

生まれてきた子どもたちは、生きることしか考えていない、生まれて良かったも何も当たり前のこととして

当事者の周り、全く知らない人たちの目に、病気や障害がある子の家族は、悲惨にしか見えないのか
そんなことはないのに
もっと病気や障害のある家族のことを良く知って欲しい
この幸せを理解して欲しい

優生思想という方向にならないで欲しい
個性として尊重され、必要な福祉や医療は受けられるように、差別をされず普通に生きることが出来るように

私たちも、もっと今の生活が素敵な時間も有ること、笑顔もいっぱいなこと、世間の人に誤解されないように出来たら良いという話だった
作品名:もやもや病 10 作家名:とことん