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もやもや病 7

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64 電話をするときの思い

患者会の相談電話を受けるとき25年も前の次男の時はどうだったのかと思う

その頃ネットもなく、病院からの情報も少なかったとき、誰に電話相談するということなど考えられなかった

今だって、相談電話をかけるのはどんなにか勇気を出してのことなのではないかと

どんな人が電話口に出るのか、感じの良くない人だったら・・・イヤなことを言われたら・・・
だいたい何を聞けば良いのかさえわからない

そういう思いがわかるから
なるべく良い感じになるように、と思って話をするけど、どんなふうに伝わっているか・・・

患者さんが病院に居るときの電話も多いし、家に帰ってひとり患者のことを思うときどんなに心細い思いをするか

出産の時にすぐに病気と診断される疾病もある
数年たっての発症もある
そのどんな病気もこれからを考えなければならない

病院という枠の中に居るとき、患者の治療はもちろんだけれど
その間に、患者の家族の気持ちもまたそこで整える場所でもあるのだと
できるなら病棟に居る先輩の家族の方との情報交換
患者がどれほど愛おしい存在であるか、その患者とこれから歩まなくてはならない現実
入院している時期にはそういう思いを腹をくくる最初の時間だったりするのかもしれない
もちろんこのあと何度でも、その腹をくくると言うことを繰り返すのかもしれないけれど

とにかく、入院病棟に居るときには、まだ周りに医師や看護師、先輩の患者家族が居る
家に帰ればそうそう近所に同じような病気の人が居るわけもなく
孤独感は今後いっそう感じることになる

孤独・・・家だけ、自分だけ、と言う思いは案外つらい
そんなときに、患者会を検索してくれたら
ただのおしゃべりでも良いから
みんながどうしているのかと
病名を告げられてショックだったと・・・それだけで良いから


作品名:もやもや病 7 作家名:とことん