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もやもや病 6

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57 動かない

集まりで、参加された方とのお話の中、今の現状をお話しされて、それがとても重い話だと思うのに、今のことを話されるだけで、それではどうしたら良いかということにのってこない人がいる

これは集まりのことだけではなく、何回も掛かってくる電話の中でも、直接お会いしての話の中でも、こちらが何回も同じ事を言い、他の人が同じようにすすめても、それ以上に話をすすめようとしない方がいる

交流会の時にした話を、先生の講演の後の質問の時にもしていた、先生が同じように答えられたのだけれど、どのように思って帰られたのだろうか

交流会の時にふと思った
雑誌やテレビで紹介される美味しいお店とかいう情報には、驚くほど人が集まって行列が出来たりするのに
外国からの美術品が公開されたりする時にも、とても多くの方が見に行ったりするのに
こと命に関することの情報がそこにあるのに、並んでみようと思わないことは何が関係しているのだろう

そんなこと言う私は、行列の出来るようなお店には行かないし、遠い昔、パンダが上野に来た時も、モナリザの絵が来た時にも、出掛けて行ったりしていない

それでも、おくればせでも、私もセカンドオピニオンを求めて動いた
その頃、まだセカンドオピニオンという言葉を知らない私だったけれど、患者会に入ったら、みんなが良いという所に行ってみたくなったから

でも、CTと脳波を撮るだけで、今の状態は良いようだからというお墨付きを貰って帰ってきた
それだけでどんなにか心が晴れたとおもう、自信にもつながったと

退院しましたという報告の電話を頂いて、この病気がわかった時には考えられないような明るい顔をして学校に行っていることが嬉しいとお母さんが言う
教えていただいたおかげですと言って下さるけれど、同じようにお話ししても、動くか動かないかはその人の考えだろう
動くことが出来たお母さんの判断が何よりだと思う
色々な人とお話しできたことが良かったと言われたお母さんの声が嬉しそうに聞こえる
私にも一番ほっとする報告だ

出不精だった私が自分でもおかしいと思うほど、どこでも出掛けるようになったけれど、踏み出してしまえばずっと近いと思えることどこでもあることなのになあと思う
こればかりは無理に言っても仕方がないのだけれど

作品名:もやもや病 6 作家名:とことん