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もやもや病 5

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49 耳が聞こえすぎる

まだお子さんが小さいお母さんから教えて頂いたことで
そのお子さんの主治医からお伺いしたお話し
人の耳は、普通は、自分の興味のあること、聞きたいと思うことが聞こえてくるようになっているという

よく犬は嗅覚がよいと言うけれど、何でも臭いがわかったら、犬だってきっと大変なのではないかと思う
その犬も、自分の食べる臭いにだけ反応をする、肉の臭いとか、食べられる物、好きな臭いに反応して欲しがる
人の耳もそうなのかも知れない
けれど、脳に障害が起きると、その耳の部分に問題が起きると、どんなことも聞こえるらしい
聞きたくないことは、聞かないようにコントロールしている耳が、そのコントロールが出来なくて、何でも聞こえてしまうと言うことのようで

実は、40代で病気になって高次脳機能障害になった患者さんのお母さんが電話で言われた
息子は病気になってから、とても耳が良くなって、息子が家にいる時には、こういう電話も出来ないのです
扉の向こうにいても自分のことを話しているのが聞こえるらしくて、誰に電話をしたのかとか、何でそんなことを言うのかとか言うのです
と家の中でトラブルになるという
その話を聞いても、耳が良くて困るんですと言われたことだけで、私の中ではわからなかった

それから私の次男のこと、職場で働いている時に、たまたま私がそこにいて思ったことが
作業場のずっと端の方で、ニッパが無いとか、箱はどれを使うのかとか職場の誰かが何か言う時
とんでもないところにいる次男が、ニッパはそこにありますとか、箱持ってきましょうか、とか返事をする

それはどうみても次男に頼んだとか、次男に言ったわけではないことなので
そんな風にあちこち気を回しているから肝心の自分のするべき事がおろそかになったりミスをするのだと思いながら聞いていたことが何回もあった

次男も、きっと何でも聞こえてしまうのだろう、これは聞かなくても良いことという耳のコントロールが出来ないのではないかと、この小さい患者さんのお母さんの言われたことに妙に納得した

このようなこと、私も主治医に言わずにいる、脳外科で耳のことなど言うつもりにならなかったと思うし
聞こえることに何の問題もないように思い、聞こえなくなったら困るけれど、聞こえすぎるから困るなどと言うことには思いがいかなかったから
問題と思わない限り、主治医にそれを報告することもないままになってしまう

脳は、とても不思議なもので
そしてこういう事を私たちの立場の者にわかるように説明して下さる先生に、驚いてしまう
患者さん、思い当たることがあるだろうか
私は、こうしてお母さんにお聞きすることでまだまだ学ばせて頂いている
これこそが私の欲しかった情報交換だと思っている


作品名:もやもや病 5 作家名:とことん