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もやもや病 5

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50 相談電話

うちの電話は、私専用になった^^
いちいち変わることの面倒さと、どんなふうにドキドキして電話をしてきて私が居なかったらと思うと、次男にも電話を取らないように言った…

携帯があって良かったって、ナンバーディスプレイが出来て良かったって思った

相談電話は、例えそれがヤッチャンであったとしても受けただろう^^
時には高慢ちきな物言いをする人も居たし
FAXを送ってきて、電話をくれるようにと言う人も居た…当時は電話代、バカにならなかったと思うし、いきなりの電話じゃなく、私がかけやすい時間にかけてくれという配慮なのかもしれなかった

ここがどこかの事務所で、私はそこに働いている人だと思うこともあったかもしれない
次男の送り迎えの時間に電話をかけたようで、いつも居ないんですねと、怒ったように言われたこともあった

でも、電話が大嫌いで、ドキドキして、どんな人が出るのか、何を聞いたら良いのかと、いつも思っていた小心者の私自身を思えば、きっと同じようにドキドキしているのだろうと思うと受けるこちら側はいつも電話のその人に集中した

かけてくる電話の多くは、病院を尋ねてくることで
本部の人に、特定の病院を教えるのはまずいこともあるからと言われながら
こんなに症例がないのに、どこでも良いと言うわけにはいかないのにと言うジレンマで、言っても良いかどうかのぎりぎりの電話だったかもしれない

でも、今まで、私が電話で言った病院に行ってトラブルになったと言われたことはない、耳に届かなかっただけかもしれないけれど

とってつけたような言い方だけれど、あなたが私の子どもだったら、あなたが私の妹だったら、私は、○○の病院か、もう1つ、○○の病院に行くように言うと思う…そう言うしかなかった

お宅さぁ~こうやって病院に患者を回すといくらもらえるの?と言った男性もいた

患者会ってさ、まあ、宗教みたいなもんでしょう?と言った人も居た

どちらも、話にならない思いだ…

でも、患者会を生き甲斐にした訳じゃない、生き甲斐にするようなものじゃない…これはいつも思ってきた

私自身がなにかで元気がないときに、かかってくる電話の1本は私を元気にもしてくれたし、後ろ向きにならないようにもしてくれた
電話相談は、かけて良かったと言ってくれるその相手より、こちらの方が元気付けられるものだった

夕飯の支度の時間でも、かけ直して下さいとは言わない…もう2度とかけてこないかもしれないから…
冷凍のコロッケを揚げていたときにかかった電話は…コロッケ食べられなかった…

配膳中にかかる電話はあとは子どもに任せて、食べ終わった頃終わる電話もあった…
短くて20分、普通で1時間…の電話
それを大切にしたいと思っていた

守秘義務があるから…なんてことは教わらなくてもそういうものだろうと…
でも、私たちには、スーパーバイザーなんてものはなかったから、受けた電話の重みに、掃除の途中でも続ける元気がなく、ボーとすることもあった…

この内容を言ったり書いたりは出来なくて、それでも事例としては、こういうこともあるということを、名前がどうのではなく、他の人に知らせたいという思いもある

私の所に止めておくのではなく、活用したい情報もある…
本部会議の時には、それぞれの話を持ち寄ることもあった

まだブロックが出来たばかりとか、代表が替わったばかりというとき、その話の内容にとんでもないと思うこともあった
ネットの情報があるから、患者会には入らない人が増えて困るという考えも
患者会の情報を他の人に流すことの抵抗も
名前も名乗らないと言うことに対しての不満も
情報だけ求めて、その後は会に入らないと言うことも

その中で一人異端児だった私

名前は、資料を送ると言うときには聞くことになる、でも聞かなくたってかまわない
本人か、家族かと言うこと、それ以外の知り合いという人の相談はなるべくご家族にと断った…どんな事情で、例えば仕事がらみで上司が電話をかけてきてもしも首になったら困る
会に無理に入らなくても良い
会の目的に啓蒙活動と言うことがあるなら、多くの人に知ってもらうだけでも良いはず
会員じゃなくても資料も実費で分けるし
相談もどこに良い病院があるのかも伝えよう

そんな私の動き方は、会の思いとは合わないということだったのかもしれない
昨日今日、病気と言われて、すぐ会に電話して、良い先生をと言われたけど、教えなかったと言った他のブロックの人に唖然としてしまった…

患者会の窓口になって思ったことは、自分の子どものことだけで良かったはずの、悲しい事実をいかに多く聞いてきたことか
私が今まで、何人の人の訃報を聞かなければならなかったか

娘が亡くなりました
本当に先生の対応が良かったのかどうかわからなくて、教えて下さい…

亡くなるほどの脳内出血、もしも命が助かっても、きっと重い後遺症…20才のお嬢さんがこれからどんな苦しいリハビリを受けるかと思うと、あの世で楽になったと思ってあげることは出来ませんか…

そう言ったときのお父さんの声…わかりました…ありがとうございました…
そう言うしかできなかった私

出血で入院していて意識が戻らないのだけれど転院できるところはないですか…

意識のない患者さんを転院できる病院はなく、倒れたばかりで、治療に移ることも出来ず、とにかく目が覚めるのを待つだけのような…1例2例じゃなかった…

かかわらなかったら知らなかった、多くのことが、知る立場になって…
いつも、いつも、過去のことではなく、今現在の親の思い、患者の思い…そうして付き合ってきて今がある…

作品名:もやもや病 5 作家名:とことん