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もやもや病 4

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39 直接吻合術

バイパスと言われる手術が、直接吻合手術
この方法は、関西の先生が、もやの患者と巡り会って、この手術が有効なんじゃないかと、訓練を重ねて出来るようになったもの

頭皮の血管を頭蓋骨を開けて、今ある血管の詰まってしまったり血流の良くない部分を避けて、その先に血管を縫い合わせてくるもの
今ある血管の先の方はそのまま血管を使えるわけで、伸びてくるのを待つというのではないので、手術直後から今までのように血液が流れる

脳血管のバイパス手術は、お年寄りの脳卒中の患者さんにはどの脳外科医も出来る手術だと聞いてる

でも、もやもや病の患者は、0歳から70歳代
成人発症の場合は、ましてや中年以降は、みんながみんな手術適用になるというわけでもなく、様子を見ながら生活に気をつければ本人の自覚で何とか悪くならないようにしていたり、また先生が手術を勧めても頭を開ける怖さから手術に踏み切れない患者も居るし…

一番手術を必要とする患者は、やはり子どもということになる
その子どもの、もやもや病になってしまっている元々の血管は1ミリないというのがもう普通のことで
0.3ミリの血管を繋ぐというようなことも、熟練した技術の先生には行われているらしい
もちろん顕微鏡を使って血管に、10針から12針で縫い合わせるという
吹けば飛ぶような細い糸、引っ張れば切れてしまうような細い糸、ゆるめれば血管の縫い目から血液が漏れる…そういう吻合手術を、昔は7,8時間の手術時間だと聞いたけれど、今は3,4時間で出来るという医師がいる

繋い血管がこれからもまた細くなってしまうのかという心配を投げかけられたりもするけれど、その先のことまではまだわかっていないし
直接吻合手術と一緒に、EMSという、筋肉を置いてくる手術も併用するのが普通になっているらしい
筋肉には血管があってその筋肉の血管が癒着して活躍してくれるらしい

脳外科医として病院で働く以上、もやもや病の患者だけではなく、多くの患者を診なくてはいけなくて、その先生方が、誰でも細い血管を繋ぐ手術の練習を出来るというわけでもなく
もやを良く知って、どの部分に繋げば良いのかということをわかってしていただかなくてはならない

お話をお聞きした先生は、練習は実験用のネズミの細い血管を繋ぐ訓練をするのだと言っていた

すぐには効果が得られるという病気ではなく、この先何十年も経過をみないといけない病気に、泣きたいくらいの手術をしてくださる先生が増えて欲しいと願っても、すぐにそういうことにはならない

患者数が少ない上に、特定の病院に患者が集まる状況なので、この症例を増やすというのもなかなか難しい
自分の子どもや家族だけは、練習したばかりの先生より、もう何年も熟練していて症例の多い先生にお願いしたいと思うのは当然のことだから

本当はどこの地域に住んでいても、この病気がわかったら、遠くの病院に行かなくても手術が出来て、うまくいくということが願いなのだけれど

多くの患者の場合は、左右2回の手術でするべきことはできたということになるのだけれど
中には、その病院にかかって手術をしていても、3回目4回目の手術が必要になる場合もあって、これも個人差としか言いようがない
とってつけたようかなと思いながら、いつも、この病気は症状も経過も十人十色、1人1人違うから、とても個人差の大きい病気だから、たまたま知った内容が全部通用するわけではないから、そこを理解して欲しいと願っているのだけれど
知的にレベルが落ちるということも、個人差、病気を忘れるくらい普通に生活できている、大学まで行ってがんばれる子ども達も居るのだから、わかって欲しい

作品名:もやもや病 4 作家名:とことん