小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

もやもや病 4

INDEX|10ページ/10ページ|

前のページ
 


40 間接手術

もやもや病には大きく別けて2つの術式がある
1つは直接吻合手術
もう1つは間接手術

間接手術というのは、次男がしていただいた手術で
間接手術の中でも多くされているのが脳の表面にある血管を頭蓋骨を開けて脳表に置いてくると言う、EDASと呼ばれているもの

これは、頭にケガをしたとき、脳がここには血管が必要だという場合に新しい血管が傷口から生えてくると言う力を利用した手術

手や足を動かすための血流が欲しいという脳に、血管が細くなって血流が行かなくなるとき、そこに頭皮の血管を引き込んで置いてくると、そこから新しい血管が生えてくるという
例えて言うなら、植木の枝を地面に這わせて、そこに土でもかけておくと新しく根が出てくることがある、形はそんな感じで根が血管ということ
でもそれは、本当に確実に欲しいところに流れてくれるかというのは、かなりこのもやを知っている先生の判断でないと、また開頭する場所、長さ、そういうことも関係するらしい
この術式を考案された先生の手術はそれは結果が良かったのだと聞いている

この手術は、成功も失敗もなく、結果は数ヶ月から1年という時間がかかる、それまでのあいだ今までの症状が残るというのも当然で…

でもこの手術の方法が、文献にしろ広く知れ渡ったので
直接先生の手術の方法を見学勉強しなくても、真似てすることが出来る手術のようで、関東地方は多くこの手術がされるようになった

だからこそ、その前までは、様子を見ましょうと、難病ですから手術はしてもしなくても…と言う医師の逃げ(言い過ぎかも)の対象のような病気だったのが、とりあえずはしておきましょうと言うことが出来るようになった

次男も、この田舎でこの術式で受けることが出来た…
広くひろめて下さった先生のおかげだと思う

昔でも今でも、この手術をせずに、バーホールとか言う、頭蓋骨にただ直系2,3センチの穴を数カ所開けるだけの手術で済ましているところもある
これも傷口から黙っていても血管がほしがっていれば伸びてくるというもの…

で、こめかみのところ3,4センチ開けただけのEDASの手術の場合、どうしても前頭葉に血管が伸びてこない
前頭葉というのは、詳しくは覚えていないが、集中力とか、社会性とか、こんなことしたら恥ずかしいというような感性の部分があるそうで、その場に血流が良くないと、それが落ちてしまうと、手や足を動かすと言うことの大切さと同じようにもっと問題が大きくなることがある

関東の大学病院のほとんどがこの手術をしてきたのではないかと思う
それは患者が子どもの場合、子どもの脳は余計新しい血管が伸びてくると言う結果もあったのだと思う
手術の時間は、3時間ぐらい

次男の時の説明では、例えば大学病院の脳外科の1,2年目の先生でも出来る手術だからと
そして次男の術後も、お母さん、この手術は成功したとかいうものではないので、やるべきことはしておいたというものですから、そう思っていてくださいという説明だった…

結果、次男は知的レベルは、手術前に落ちたレベルが少しずつ育ったというもので、小中高と遅れはどうしてもあったし、頭痛は術後22年消えていない

次男の脳室内出血で倒れて入院しそのまま受けたEDASの手術の後、1年してから、患者会を知り、直接手術ができるところがあると言うことを知った…
作品名:もやもや病 4 作家名:とことん