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もやもや病 4

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37 リハビリの先生

患者会でお世話になった、大好きな先生が居る
リハビリの専門の先生

その先生が、いつの講演だったかで
リハビリをすると言うことについてお話し下さった

脳梗塞の後遺症と言うことでリハビリが必要になったとき
どこに目標を置くかというのはとても大切なこと

脳梗塞を起こした脳というのは、脳外科医に聞いたところ、本来なら、ピンク色のきれいな弾力のある脳が、白い豆腐のようになるのだという
手で押してみたら弾力もなく、ずぶずぶと押されてしまうような、そういう組織らしい

その脳梗塞の起きた部分は、回復はない
死んでしまった細胞は元に戻らない
けれど、人の脳はとても素晴らしい力があって、その脳梗塞を起こした周りの健康な組織が、その部分を一生懸命カバーしようと頑張ってくれるらしい

そしてそのことを助けることがリハビリなのだろう

ただ、元に戻らないことを理解しておかないと、元通りを目標にしたリハビリはとても辛いことになる

ここまで出来たら良いという目標設定が大切だと

先生は例えばどうしてもしなくてはいけない借金をしたとき
100万という金額だったら、何としても頑張って返済するだろう
けれど1億などという借金だったとしたら、あきらめて自己破産するか、もしかしたら自殺と言うことにもなりかねない

元に戻そうというリハビリは無理だと言うこと
手の届かない目標ではなく、頑張れる程度のリハビリにするように目標設定しよう
というようなお話しだった
とても納得できる

この頃のテレビのCMでリハビリパンツをはくシーンで、頑張って一生リハビリしような…という言葉が出てくる…例えが違うのかもしれないけれど、一生リハビリという言葉が引っかかる

しょうがいと言うとき、時々、近視の人のメガネが例えとして取り上げられる
メガネがなければ何も出来ない状況の場合、近視は大きなしょうがいの一つだと言うこと
このメガネを掛けるとき、一生メガネで頑張ろうな、とは言わない
メガネを掛けることが日常として当たり前になるからだ…

リハビリパンツをはくことも、一生リハビリではなく、当然の日常のはずなのだけれど
こんなことに合わせて書くのはおかしいかもしれないけど
38 看護師さん

私に待望の孫が産まれた
もやもや病の次男が居て、これがもしも遺伝性だということがあって、長男や娘に、結婚したいと思う相手がそれをいやがるとしたら、私には孫が産まれることがなかったかもしれないという思い方はどうしてもついて回った…

それは、こういう遺伝ということが、どのような確率でおこることなのか、それは片方の持っている因子と何かの影響で2人の間に起こること、片方だけの問題ではなく、社会環境の問題も合わさっておこることと説明を受けては居ても心配がないわけではなく…

生まれたばかりの赤ちゃんが、泣く…当たり前のことだ…

もやもや病の発症は時々、1歳未満の子どもにも起こりえる
何年も前に連絡してきた若いお母さん
もやもや病で入院した9ヶ月の赤ちゃん
脳外科医と、看護部の連絡が悪かったのか、小児科の看護師に病気の特徴が伝わっていなかったのか

泣かせてはいけない…過呼吸で、発作が起こるから
そういう基本的なことが守られなかった

完全看護の大学病院で夜になってお母さんが帰される、この子は泣いてはいけない病気なんです、泣かないように抱いていたいので眠るまでもう少し病院にいさせてください
そう言ったら、大丈夫ですよ、私たちが抱いていますから…
と看護師さんが言ったという

お母さんは後ろ髪引かれる思いで、赤ちゃんを看護師に託して部屋を出た
少し行って、忘れ物をしたことに気がついてベッドに戻ってみたら
赤ちゃんはベッドの上でギャアギャアと泣いていた
赤ちゃんは脳梗塞を起こした…一過性のTIAではすまなくて、脳梗塞ということになった
首が据わっていた(当然9ヶ月になっていたのだから)のに、グニャグニャとした首になり
口元が締まり無く…

そこの病院にいてもどうにもならないということで、少しでも症例の多い病院へと転院になったとき
救急車に同乗してついてきた大学病院の医師がその大学病院に託した後帰るときになってはじめて泣いて謝ったという

あのとき泣かさなければという思いは大きい
その後、転院した大学病院で数年の時を個室でお母さんと2人の生活を送ることになった
新婚まもないお父さんも、2人を病院に預けて寂しい生活を送ることになった

病院の個室という空間から、自宅に戻ることが出来るのかという不安と、嚥下障害のある子どもにご飯を食べさせることの不安、ここから出られるようになっても、母子で家にいることに対する不安…大変な思いをされたと聞いた

今はいくつになったのか…

子どもは泣くのが当たり前、本当にそうなのに、もやもや病の子どもの発症からもやと診断がつくきっかけは、泣いたときに脱力発作が起きたということがとても多い

もやもや病の診断のきっかけとして、医学生への問題にも、ラーメンを食べたときに力が入らなくなった子どもは…この病気は何かという試験問題を作ったという医師がいた

ラーメンをフーフーさましながら食べる
風船をふくらます
笛とかピアニカを吹く
というような過呼吸の状態になったときに、発作が起きるのが、もやの特徴

このことを良く理解しておかないと…

今少し前に、お世話になっている脳外科の先生の説明をパソコンで見た
この病気は、手術の術者(医師)だけの技術ではなく、術前、術中、術後の連携がとても大切です
術中の麻酔科の先生とか、術後の看護師さんとの連携の他
麻酔から目が覚めたときに子どもが泣かないためにはお母さんの力も借りる必要があって、お母さんもチームの一員として入ってもらうことが大切ですとおっしゃってくださっていた

オギャアと生まれた、すべての赤ちゃんが、健やかに成長されるように、自分の孫だけではなく、願う
若いお母さん達が、泣く思いの無いようにと、願う
神様の試練は、若い親にも赤ちゃんにも与えて欲しくないから

作品名:もやもや病 4 作家名:とことん