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季節ものショートショート

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 図書館を出ると、外はもう夜の帳に包まれていた。
 私は、彼よりも少しだけ前に出て歩く。
 私の向かう先は、学校だった。
 途中で彼は何度も、どこに向かっているのか訊きたそうな表情をしたが、やはり思い直して、押し黙っていた。
 学校に着くと、私は学生服なのも気にせず、校門に足をかけ、よじ登る。
 彼のほうを見ると、彼は私に背を向けていた。
 少しだけいたずら心が芽生え、こんなことを訊いてみる。
「なんでそっちむいてるの?」
「ば、馬鹿野郎。み、見えるだろ!」
 その返事に満足し、ストン、と地面に降り立つ。
「もう大丈夫だからおいでよ」
 彼は半信半疑な様子だったが、私が門に登っていないことを確認し、門を越えた。
 グランドの端にある、いつもの登下校で使う道を通り、校舎へと進む。
 私はいつも開いている窓から校舎に侵入し(もちろん同じことを繰り返して彼を困らせた)、夜の校舎を徘徊し始めた。
 私は目的の扉の前で、歩みを止める。
 ポケットから鍵を取り出し、開錠した。
 しかし、扉を開ける前に、
「少しの間、目を瞑っていてくれる?」