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季節ものショートショート

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 片づけを終え、後ろを振り向くと、ちょうど彼が立ち上がったところだった。
 いつものように彼はドアへと向かい、その間に私は鍵と鞄を持つ。
 ゆっくりとした彼に追いつくため、少し急いで歩く。
 彼が扉を開き、通ってまもなく、私も扉を通る。
 鍵をかけ、一言、
「じゃあ私、職員室に鍵を返してくるから」
 彼は首を縦に振る。
 昇降口と職員室は、美術室から見ると逆方向なので、それぞれ反対へと向かう。

 彼女が職員室に行って、鍵を返却している間に、僕は自転車を回収して昇降口で彼女を待つ。
 ぼんやりと秋の夕暮れの中、カラスが二羽だけで、鳴きながら飛んでいくのを眺める。
 すると、彼女がやってきた。
 いつものように隣に並び、歩いて帰る。
「ねえ、今から少し、図書館に寄らないかしら?」
 彼女が突然、言い出した。
 これは、いつもと違った。
 少し驚いたが、図書館に寄るくらいなんでもないので、
「いいよ。行こうか」
 と答えた。