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もやもや病 2

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18 泣けない

次男は、倒れてから気が付いたら、悲しくないというか、涙が出ないという

中1の時だから、倒れて 2年ぐらいで、祖母が亡くなったわけで、その祖母のお葬式泣くことが出来なかったところから
みんなが悲しいというテレビを見ても涙が出ない、悲しくないって、言うようになった
反対に、ものすごい大笑いをする

娘が家に居たときにも
お兄ちゃんが笑うから、何のテレビ見ているのかと思って見てみたけど、あんなに笑うような内容じゃない…ってよく言っていた

最近は、あまりにうるさく笑うので、近所の人が、きっと迷惑しているからと思い、少し抑えて笑うようにと声を掛けてきた

高次脳機能障害の講演会の講師の先生にそのことを話してみた
特に相談するつもりで行ったのではないのだけれど、お話ししているうちに、こんな状況ですということを言ってみたくなってしまった

先生は、感情失禁だと思うと言われた
便や尿を失禁するというふうに言うけれど、感情も垂れ流してしまうようなことらしい(私のとり方記憶した言葉の間違いがもしかしたら有るかもしれないけれど)
とにかく、生理的に涙が出ないなら目が乾くということになるのじゃないかと思うし
悲しいという感情があるけど泣かないのか、悲しいことなどと思わないのか、それの判断はちゃんと聞いてみなければ分からない

カッターで間違って荷作りひもを切るときに自分のすねまでズボンごと切ってしまったきも、痛いけどへらへら笑っていたそうで、病院に連れて行ってくれた職場の人が気味悪がっていたことなど思い出してしまった

先生は、泣くということを真似て泣く訓練をしてみると良いと言われた
これからも悲しい場面にぶつかるとき、笑っているのでは社会生活で問題が出ることもあるだろうということらしい
私は単純に、泣いて暮らすよりまあ良いかと思ってしまっていたけれど、どうもそうではないらしい

前に見たテレビで、涙には有害なストレス物質を流す作用もあると聞けば、これもまた生きて行くには必要なことなのかもしれなくて

社会生活を普通の人たちと同じようにというのがリハビリの1つとしたら
お葬式のような悲しい席で泣けないことは、情緒面でも問題なのかもしれないと感じた
人は笑っていれば良いというものでもないし
好きでもない人が大声で笑っているのはほほえましいことでは決して無く、雑音であり痛切にイヤなことかもしれない

長いこと、次男が泣けないと言っていたことをそのままに年月が過ぎてしまったけれどこんなふうに、自分の子どもの高次脳機能障害についての認識を持たなければ、リハビリした方が良いのか、それが症状なのかも分からないことだって有る

この先生のお話はそういうところで、とても大切な部分なのだと思う

個別相談などという日ではなかったのに、次男のこと思わず伺ってしまって、とても有難かった、また申し訳なかったような…

その先生とお話しできたことは、ほんとに大切な時間だった

作品名:もやもや病 2 作家名:とことん