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もやもや病 2

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15 自助努力

10才の次男が、脳室内出血で倒れて、知的レベルが下がり、脳梗塞で右手麻痺が出たとき、いやだいやだとリハビリをしなかったら、右手は今よりもずっと使うことが無く固まってしまうのだろうか

その時は紙切れ1枚挟むことが出来なかった右手は今でも使いにくいけれど、リハビリをしなかったら棒のようにただあるままになるものなのか

直後は、こんなことが出来るようになるのかと思う作業療法のメニューだった
集中力に欠けて、根気が無く、手を止めては空を見ている次男に、隣で同じことをしている脳卒中のおじいさんと同じものを見て、悲しかったのを覚えている

お年寄りばかりの中で、10才の子どもが同じようにするのを見れば、付き添いのおばさん達は、何の病気かと尋ねてくる

聞いたこともない病名を聞いて、ただただそんなことがあるのかと感心するばかりのおばさん達

そのおじいさん達も、何度も何度もシャツのボタンをはめて洋服を着る練習をして、スプーンでお皿からお皿に移し替える訓練をして、何とか少しずつでも使えるように努力する

殆ど無口になってお話ししない人たちが、退院して、さあこれからと思うとき、障害者手帳の申請を出しても、主治医が書いてくれるものより、どこでどうそうなるのか、判定は厳しくて、なにかの役に立つようなレベルの認定にはならないことも多い

あの時、泣きながら訓練をしなかったら、重いしょうがいとして等級が上がるのだろうか、中途半端に動かない方が、家人の手を煩わせなくてすむのだろうか、何回もそんな悪い疑問が頭の中を騒いだ

退院して、週に1度のリハビリとなると、日常のことをしていればそれがもうリハビリですからといわれて、通うこともなくなれば、家人に何か言われない限り、その不自由な手を使うこともしなくなって、しょうがいとして残るようにもなる
それでも最初の時のままではなく、リハビリをした成果は出ている…

目に見えるしょうがいとはまた違って、高次脳機能障害ということになれば、役場の人や先生とも対等におしゃべりが出来るが、少し前のことを覚えていないというようなことがいろいろ出てきて、しっかりしょうがい者であっても行政の理解を得ることがとても難しい、いや、このごろやっと少しでも高次脳機能障害について動いてはきたのだけれど

しょうがい者って何だろう・・・
なりたくてなったわけではないのに、同じように困る人がいるのに、等級があり、その等級により待遇が違うとき、自分はそうだと認めたくないと頑張る人はともかく、望む人にすべてそうしてくれたなら、なにかの時に使える制度であってくれたらと、患者が大人になればなるほど思う

就労の問題が大きいから、年金に関係するから、抱え込んでいる家族のことを思うから・・・

自助努力したことが、ほんの少しでも疑問に思うことがないようにと思うのは、間違った考えだろうか

作品名:もやもや病 2 作家名:とことん