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もやもや病 1

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1 脳室内出血

お腹から生まれた日の他に、もう1つお誕生日があるっていうのは、どんな病気の人もそうなのかな…
大病したときはそう思うのかもしれないね…

1989年の9月3日(月)
次男は今日から授業という日に倒れた
朝、ぼぉ~と起きてきたから、シャワーでも浴びてしゃきっとしておいで…とお父さんに言われて

お風呂場で音がして、大丈夫と言いながら居間に来て、ソファに横になった
朝の出勤時間だったので夫は職場に行き、次男を寝かせたまま、私はそれほどのことと思っては居なかった…

ただ、てんかんと診断されていて総合病院の小児科の主治医に、今度具合が悪くなったら翌日の朝の様子を見たいから入院してもらいましょう、って言われていたので、ああ、入院だなって思った…

上の子と下の子が登校して、私は次男を引きずるように車に乗せて病院に行った…
本当は、救急車を呼ぶべきだったのに…

でも、私は医療のことに関しては素人、プロの小児科の主治医、それも医長が次男の変化に気がつかなかった

病院について待合室に待っていたとき、看護師さんは次男の様子を見て、待たずに診察してもらえるように動いてくれたのに、診た主治医は、入院の手続きをしただけで、ベッドに横にしたまま、次男は昏々と眠り、夕方5時過ぎ、研修中の若い先生が様子を見に来て瞳孔や、足の反応の悪さに気がつき主治医を連れてきたその時も、主治医は次男のことわからなかった

何回も待っていたことがある、誰もいなくなったCT室の前で、次男がストレッチャーに乗ったまま運ばれて中に入った

あ~ら、○○さん、お久しぶり、奥様お元気?
と、明るい主治医の声がした
それから5分もせずに、主治医が飛び出してきた
脳室内に出血しています…
ここには脳外科がないので、救急車で転送します
お父さんに連絡取れますか?

私は、10時から5時まで、イヤ、7時から5時まで、そんな状態でいた次男とはじめて救急車に乗った…

脳室に溜まった血液を表に出さないといけないからと手術ということになり
その前に、脳外科医から説明があった
難病だと…完治は望めないけれど、いまはとりあえず、この脳室ドレナージの手術をしますと…
映し出された写真にはもやもやした血管が見えた

手術室の前で、夫は、俺がシャワーを使うように言ったからいけなかったのかと、言った…
そんなこと関係ない…

私は、妙に冷静な気分で、その時に思ったのは、これが私の不注意、例えば、交通事故とかで怪我をさせたというような手術ではなくて良かった、夫婦どちらかの過失だと言うような怪我ではなくて良かった…

私も夫もお互いを責めるようなことではないこと、仕方がないことじゃないかと

総合病院の女医さんは、よほどこの仕事が好きな先生なのかな…
どうして?
なんだかニコニコ笑って説明してたからさ…

夫も私も同じことを思ったのだと…
夫が病院に着く前に、主治医はにこにこ顔で、私に今の状態を説明したから…
私は、この先生は、私がショックを起こさないようにわざと笑顔で話をしてるんだろうなと、思いながら聞いた…

でも同じように夫もその笑顔に違和感を持った…
そっか…

次男は頭をぐるぐる巻きにして出てきた
脳室から表に出す管からは、真っ赤な血液が流れていた
こんなにたくさんの出血をしていたのかと、長い時間寝かせたままだったことを思った…
普段は付き添いは認めないのだけれど、今日はこのまま1晩だけ着いていても良いからと言うので、私は病室に残った、次男はただただ寝ていた…

作品名:もやもや病 1 作家名:とことん