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もやもや病 1

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7 5年生

次男は退院してじきに学校に戻った…
家に居るより、刺激になるだろうと思った

病院に入院しているときには紙おむつだったのだけれど、同じ部屋に同じくらいの女の子が入院してきた頃、紙おむつを恥ずかしいというそぶりがあって、紙おむつを外すことが出来るようになった

けれど、おもらしがある…

てんかんと診断されて、抗けいれん剤の作用で、眠くなってしまうときから、次男のクラスでの居場所は居心地の良いところではなかったのだけれど

だからこそ、私は入院中に次男に寄せてくれたクラスの励ましの寄せ書きや、千羽鶴をとても複雑な思いで見ていた
この年の先生のことをほとんど覚えていない
先生のことなど覚えて居るどころではない大きなことがあったからだと思うけど

5年の担任は女の先生で、じきに産休に入った…
はきはきした感じの明るい先生だけれど、親の中では、5年という担任になって産休に入るのはもってのほかという意見が聞かれたと思う

それが何月からの産休か覚えていないけれど、その後の先生も女性だった…
その先生のこともほとんど印象に残っていない

だからといって、クラスの中の次男が良いところにいたと言うことでもなくて
休みがちだったり、給食当番、掃除当番の時に保健室にいたり早退するのはいつものことだったと思う

この時期、てんかんと診断されていた次男は、脳波が読み取れないと、女医先生が、大学病院に行くようにと勧められて、代謝異常ではないかと診察を受けて、やはり、元の病院に戻されたという時期でもあった

大学病院で、順番を待っているときの次男の顔色を見て、通りかかった女医先生が、あなたどこか絶対お悪いからよ~く診ておもらいなさいね…と声を掛けて通られた

ずっと後になって、この方が、この辺りでは一番の脳波を読み取る先生だと聞いた
その時点で、代謝異常ではなく、脳波を読み取ってもらえていたら、てんかんが誤診だとわかってもらえたのにという思いは、やはり残った

次男が2ヶ月半入院しているあいだ、産休をとっていた先生がお見舞いに来てくれた
もちろん、現在の担任も来てくれた
病室に子どもの入室は許されなかったから
クラスの子ども達からは、寄せ書きが届いた
3歳ぐらいまで退行したから、病院にいる刺激だけでなく、良い刺激が欲しいからと、主治医に言われて、クラスの人たちから励ましのカセットテープも作ってもらった
千羽鶴も作ってもらった…

私は冷たくさめた親…
こうして戴いたら、喜ぶのが普通かもしれないけれど
今までの学校での友だちの関係、どんなに仲間はずれにされていたかと言うことを頭から切り離さずにいることは出来なくて

クラスの中の1人が倒れれば、形だけでも寄せ書きを書き、声のテープを作り、千羽鶴を折る、そのことに、友だち思いであると自己満足するような、その行為にクラスの人が酔っている、そんな気がしてならなかった…ひどくイヤな取り方だとわかってはいる

大きな鶴を何本かは紐に通し、残りは籠の中に紐にも通さないばらばらの鶴がゴミのように届けられて、とてもイヤな気分がした
ゴミのようになどと言ったら大顰蹙なことだろう…わかっていてもそう感じた…

先生はどういうふうに子ども達に説明したのか、死んでしまうとでも思ったのか…
寂しい病室の中でクラスメートの心を感じることなど出来なかった
3年生の担任の時から、先生が次男を馬鹿にした言動をしたし、それを見ていたクラスの子ども達は次男に対して・・・

その時でさえそうだったのだから、倒れて右手の麻痺が出て
幼い言動をするようになった、お漏らしをする次男に、子ども達は無視すると言うことが単にエスカレートしただけのようになった

作品名:もやもや病 1 作家名:とことん