小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

もやもや病 1

INDEX|10ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


6 病院通い

長男は中学生で、自転車通学だったけれど、1度、家の鍵を忘れたことがあったと
その時、サッシの鍵を家の中にいる雄猫チビに開けさせようと、1時間かけてガラスの向こうからじゃれさせて見事にあけたという笑い話もあった
たまたまサッシのロックがかかっていなかったから出来たことで、飛びかかったチビの手がそのロックを触ったら完全に7時半まで表にいなければならなかったと笑って報告してくれた…
私は、毎日病院に通った
この病院通いの中で、1つ私が上手になったこと

それは、次男が6歳の時にとった車の運転免許だけれど、10歳で倒れるまで、スーパーの駐車場でも、広く開いてるところに駐めるようにしていた私なのに

2時からの面会時間に合わせて病院に行くと、ほとんど駐車場はいっぱいで、外来の人が居るから
1つしか空いてないところに駐めるのって当たり前で
で、うまくなった
私、サイドミラーしか見ないでバックで駐めるけど、もうメチャメチャ上手になっちゃった
今でも、次男が、お父さんより上手に駐めるって褒めてくれる
実家の父も、上手に駐めるなあって言ってくれてた

次男のベッドでいつもケラケラ笑ってて、次男は三歳児な訳だし
出来ても出来なくても、ばかだねぇ~とか言いながらケラケラ笑ってた

笑っている患者の家族には看護師さんは心配ないと思うのか、本当は連絡する必要のあることまで言わなくなって、私、内心むくれてた…

最初の1回は別として、あとの手術は、麻酔をかける1時間前には面会時間じゃなくても来ても良いからというのは、病室の他のお母さんから聞いた…

当日1時間前に行くと、看護師さんがビックリしたような顔をして、あらそう、今日手術なのね…じゃあ中に入って良いですよ…みたいな…

今年は何なの?って看護師さんが言ったほど、脳外科の小児患者が入ってきた
1人は、2階の窓から落ちたという3歳ぐらいの女の子、この子はたぶん亡くなったのだと思う…次男の隣のベッドに入ってきて1日しか居なかった…

それから、6年生の脳腫瘍の男の子
そして少し後に、5年生の脳腫瘍の男の子、取り切れない腫瘍が大きくなるたびまた取れるところまで取るのだと言っていた、何回目かの入院…
そのご両親は1日ものも言わずにベッドの傍に座っていて…そこだけ空気がどんよりと見えた…一人っ子さんだと言っていた

そのご家族には、1日に何回も声をかけて歩く師長さん、看護師さん…
私は、ちょっとヤキモチを妬いたのかもしれない
私の所を放っておかれたような気がして
そんなときの気持ちで少しおとなしい顔になったみたいな私に、師長さんが言う、毎日来ていて疲れたんじゃない?たまにはお休みしてみたら

看護師さんたちのお忙しいのは良くわかっているのに、ヤキモチ妬くなんておかしいよね…
わかってはいるのだけれど

でも私は、この経験を
ずっと時間が経って、看護大学の学生さん達の前でお話しする時間を頂いたとき、元気に笑うお母さんにも声をかけてあげて欲しいと言ってきた

子ども達は病室には入れなくて
プレイルームだけは患児の兄妹も入れたから
そこでの面会になったけれど、幼くなった弟や、お兄ちゃんを、長男も娘も複雑な思いで見ていたのだと思う

右手の指が動かなくなったから、今まで絶対買わなかったテレビゲーム関係だったのに、いきなりゲームボーイの出現となった…
次男のリハビリのため…
小さなカセットを、いくつか買ってきたが、次男は集中力がなくなって、5分もするとカチャカチャ入れ替えているような状態だった

とにかく、次男は都合6回の手術を受けて、2ヶ月半で退院して帰って来た…
作品名:もやもや病 1 作家名:とことん