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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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マグギャランは言った。
 「それは屁理屈だぞ、スカイ。お前の剣の腕など、たかが知れている。やはり、ここは、俺が五十%だ。喝!喝!だ!」
マグギャランは、しまいには叫びだした。

 そしてスカイ達は更に5日歩いていた。混沌の大地からタビヲン王国に入ったが、タビヲン王国のナラシダ街道沿いには、貧しい寒村が広がっていた。見るからにボロっちい倒れかかった乾しレンガで作られた家が連なっていた。そして痩せこけた三メートルぐらい在る高さの巨大な牛に引かせた五メートルぐらいの幅のある巨大な鍬に乗って畑を農民達が耕していた。
 ナラシダ街道沿いの草むらには歯の付いた五、六十センチぐらいの高さの植物が生えていてスカイ達に噛みつこうとしていた。スカイは蹴飛ばした。ボコッとしてスイカみたいに割れて中身が出てきたが何か内蔵みたいだった。ピクピク動く心臓みたいな臓器が入っていた。
ゲロゲロだぞ本当に植物なのか?
 スカイは踏み潰して息の根を止めながら思った。
混沌の大地やタビヲン王国は、こんな奇怪な怪物だか植物だか判らないモノがウヨウヨとしている奇妙な場所だった。
 タビヲン王国も本当は混沌の大地に入ると言うことをスカイは知っていた。混沌の大地と人間が住むコモンの境界線の緩衝地帯に無理矢理、国を三百年ぐらい前に建国したのがタビヲン王国の始まりらしい。だから、タビヲン王国はコモンで、ありながらコモンとは違う国でもあるのだ。コモンの人間なら誰でも知っている有名な話では在った。
 マグギャランが手を振ってスカイに合図して言った。
 「スカイ、俺には実は騎士の使命が在るのだ」
 スカイは嫌そうな声を出して言った。
「それが何なんだよ。お前の騎士の使命なんか、俺には関係が、ないだろう。冒険屋のルールじゃ過去は互いに詮索しないんだよ」
マグギャランは妙に、しんみりとした声を出していた。調子狂うだろうが。スカイは何となく気分が悪くなった。
マグギャランは言った。
 「俺は、実はな、故郷のハーベス王国で騎士をやっていた。伝統と格式在る羽牛騎士団の一員だったのだ」
マグギャランが情けない顔と情けない声で急に辛気くさい話を始めてスカイは気分が悪くなった。
 スカイは言った。
 「お前がハーベス王国出身だなんて初めて聞いたよ。何だよ、いきなり。牛に羽が生えている筈は無いだろう。牛っていうのは、あそこに居る少しサイズのデカイ牛のように四本足で地面を歩くんだよ」
スカイは畑を顎で牛を指した。混沌の大地の土地のせいか、巨大生物や奇怪な動植物が、そこら中にいた。行くときは五メートルぐらいある巨大なカブトムシが空を飛んでいくのを見もした。
 マグギャランは言った。
 「ハーベス王国は、今は普通の国のフリをしているが実は権力欲に取り憑かれたゴネール大臣が呼び寄せた魔物達に乗っ取られているのだ」
 スカイは言った。
 「何だよ、フカシじゃねぇのか。ハーベスって言ったら、コモン一の穀倉地帯リノージ平野を抱えている金持ちの大国だ。そんな国が、おかしくなったなんて言えば、そこら中から話が伝わってくるだろう。全然聞こえてきていないだろう」
 マグギャランはスカイに言った。
「スカイ、頼む、財宝を全部、俺にくれ。一生の、お願いだ」
 スカイはマグギャランに言った。
「何だよ、何でハーベスに怪物が出てくると、テメェに、俺の、お宝をやらなくちゃならないんだよ」
全部せしめたいのスカイの方だった。
一度欲をかくと、際限なく欲望が膨らんでいった。
カネ、
 カネ、
 カネ……
マグギャランはスカイに言った。
 「カネという物は軍事においては非常に重要な物なのだスカイ。備えを考えれば幾らあっても足りるという事はない。カネで兵士を雇い武器を買う事が出来てメシを食わせられる。そしてハーベス王国に巣くうバケモノ共をカネの力で集めた兵士達を大量に使って、人海戦術を採ることによって死屍を乗り越えて戦いに駆りだす事が出来るのだ。この財宝を使えば大量の兵士を集めてハーベス王国に巣くう強力な、あのバケモノ共を兵士の数で圧倒して倒すことが出来る」
スカイは言った。
「何か、酷い事考えているな。ただの権力争いだろう?何処の国にでもある話だよ。ミドルンにも在ったし、近所のヒマージにも在った話じゃないかよ。大体、集めた兵士が死んだらどうするんだよ」
 マグギャランは頷きながら言った。 
 「それは、カネでカタが付く。傭兵とはカネで命を買う物なのだ」
 スカイは言った。
 「おい、お前は、戦わないのかよ」
 何か、マグギャランの奴の話に卑怯さを感じていた。
 マグギャランは言った。
 「それは当然だ。将軍や偉い軍略家は後方の安全な場所で指揮を執れば、よいのだ。財宝の中に入っている「暴君の指輪」を填めて椅子に座って命令を出していればいい」
スカイは言った。
「本当に、それだけかよ。無茶苦茶卑怯じゃねぇか。アイテム頼みかよ」
 スカイはマグギャランを見た。
 マグギャランは頭を掻きながら言った。
 「いや、実は俺の中の計画では。美人の副官が居て、山車に乗って指揮を執る予定なのだ」
スカイはマグギャランに言った。
 「何だよ、それ、上手く行きっこねぇよ。何で美人が副官なんだよ。顔で選んで能力が付いていなかったら意味ねぇだろ。そんなデタラメな話に俺の財宝を出す必要なんか、これっぽっちもねぇぞ」
マグギャランは言った。
 「それなら、スカイ、お前は、そのカネで何をするのだ。自分の生まれた祖国を救う以上に高尚で崇高な理由と目的が在るのか」
 マグギャランにしては、やけに真面目な顔だった。
 スカイは、しどろもどろで言った。
「そりゃ、お前、カネが沢山あったら金貨に換金して、数えて喜ぶに決まっているだろう」
 確かに使い道となると何をすればいいのかスカイには、さっぱり判らなかった。
マグギャランは言った。
 「いつもは剛胆そうな事を言っている、わりには、纏まった超大金が手に入った途端に、思いっきり守りに入っているではないか。卑怯者は、お前の方だぞスカイ。残りの一生を金庫の番人にでもなって金貨を数えて過ごすのか。発狂しても知らんぞ」

更に二日歩いた。
 スカイは地図を見ながら言った。
 「タビヲン王国の地図を見る限り、ここはクトイハ伯爵領だ。観光ガイドによるとニ、三十メートル在る巨大な人食い淡水魚カッパラが棲んでいる白鳥湖と領主の住んでいる白亜の奇岩を、くり抜いて作った白鳥城が在るらしい」
 マグギャランは言った。
「今の俺なら、ラメゲ・ボルコ相手でも簡単に勝てるな」
スカイは言った。
「ナラシダ街道からは、かなり外れているところに白鳥城は在るらしい。入り組んだ道を通るようだ。俺達は、お宝を持っているしルシルスの顔を見に行くことは出来ないな」
マグギャランは真面目な顔で言った。
「確かに、そうだな、今の俺には騎士の使命がある」

 スカイは宿屋でマグギャランを呼んだ。
「おい、マグギャラン」
 その途端に宿屋の一階の小料理屋に居る客達の雰囲気が変わった。
マグギャランは言った。