赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 46~49
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (49)
幅1m足らずの県境の道
「飯豊山へ登る?。いいねぇ、行っといで。
幅が3尺の登山道が、延々、7キロ以上も続いている。
行ってみる価値は充分にあるよ。行っといで、行っといで」
市が「いいところだよ」と清子の背中を押す。
飯豊山は、山岳信仰の山。
越後、会津、出羽の3国の境にそびえたち、3国を見下ろす山でもある。
山から生まれた水は、阿賀野川、荒川、最上川となり、3国の山野に恵みをもたらす。
飯豊山への参詣は、近隣の住民にとって、大人になるための通過儀礼であり、
男子が13?15歳になると、飯豊山に登るのがしきたりになっている。
明治時代に実施された廃藩置県が、火種を産んだ。
会津の一部であった東蒲原郡が、福島県から切り離された。
この結果。飯豊山神社の奥宮は新潟県東蒲原郡実川村(現・阿賀町)に
編入されることになった。
これに、飯豊山神社の麓宮をもつ耶麻郡一ノ木村(現・喜多方市)が
猛反発した。
山頂の奥宮と麓宮は、一体のものとして崇拝されてきたからだ。
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 46~49 作家名:落合順平