赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 46~49
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (48)
会津の初夏
木々の葉が新緑から深い緑に変わる。
山藤や桐の花が咲くと、会津に夏がやってくる。
川霧が発生するのもちょうどこの頃から。
梅雨までの短い間。会津はひとときだけ、初夏の色彩に染まる。
「市さんが引き取ってくれたのか。それはまた好都合。
駅前だし、喜多方からのバスの便もいい。
チョコチョコ遊びに来るのに、ちょうど手頃な場所だ」
「チョコチョコ来られるほど、暇なのですか?。恭子さんは」
「夏の予選に負けてしまうと、3年生の部活はそれで終わり。
あとは進学に備えて、みんなそれぞれ準備に入る。
高校3年生の夏休みはすべてのことから解放されて、気兼ねなく遊べる、
一番良い瞬間なのよ」
「そんなものですか・・・高校生活というものは」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 46~49 作家名:落合順平