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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 46~49

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 「2人の仲は、もう10年を超えている。
 なのに東山温泉以外であの2人を見かけた人は、いまだに1人もいない。
 パパが何度も酒蔵の見学においでと誘っても、一度も来てくれないそうです」

 「たしか先日のときも、別件が有ると断っていました・・・小春姐さんは」
 
 「別件なんかないさ。小春さんには。
 酒蔵へ顔を出さないのは、小春さんの遠慮というか、気遣いが有ると思う。
 母が亡くなり、ずいぶん月日が経ちました。
 そろそろあたしにも、新しいお母さんができてもいい頃だと
 考えはじめているの」

 「え!。それって、あの、もしかしたら・・・・え、え~。
 小春姐さんと恭子さんのパパを、夫婦にしようということですか!」

 「しっ。声が大きい、清子。
 先のことです。結果は、大人たちが決めることです。
 わたしたちには、どうすることもできません。
 でもね。あんたが小春さんを、うまく盆踊りの会場へ引っ張り出してきて、
 あたしがパパを盆踊り会場へ引っ張っていけば、2人はばったりと、
 盆踊りの場で出会うことになる。
 私たち2人が姿を消してしまえば、あとは大人だけの世界になる。
 どうする清子。手伝ってくれるよね。
 この夏の最大の、大人たちの結びつきのイベントを!」

 「はい。精一杯、お手伝いをいたします!」

 清子があっさり、返事を返す。
この時はまだ、事の重大性と、難しさを、まったく理解していない。
自分よりもすこし大人びている恭子と、親しくなれたことが嬉しくて、
単純に、ただただ舞い上がっていた。


(47)へ、つづく