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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 41~45

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 「そうだよねぇ。あんたは、朝からずっとお店の中で頑張った。
 たくさん食べて体力をつけなきゃ、身体が持たないよ。
 追加の料理を持ってきたから、遠慮しないでドンドン食べておくれ。
 お茶と甘酒も持ってきた。流し込むために使っておくれ。
 うふふ。いいねぇあんた。
 働きっぷりも見事だけど、旺盛な食欲ぶりも見ていて気持ちがいい。
 遠慮しないで、たくさん食べておくれ」

 追加の料理を運んできたおばちゃんが、清子の食欲に目を細める。
『はいっ!』と答えた清子が、甘酒へ手を伸ばす。
何のためらいもなく、一気に、甘酒をものの見事に飲み干してしまう。
清子の膝で居眠りしていたたまが、妙な予感を覚える。

 『清子のやつ。調子に乗って甘酒の一気飲みしたけど、大丈夫か?。
なんだか、おいら胸騒ぎがしてきたぞ。嫌な予感がするなぁ・・・・』
たまがぼそりとつぶやいたつぎの瞬間、清子の身体がふらりと揺れだした。

 清子の白い頬に、紅がさしてくる。
次の瞬間。顔全体が、ゆでダコのように変っていく。
湯気でもあがりそうなほど、真っ赤な顔に変わっていく。
『もうあかん。身体がいきなり燃えてきた。ダメや・・・』一声うめいたその直後。
そのまま後方へ、へなへなと、崩れるように倒れていく。

 「清子!」

 「どうした、あんた。大丈夫かい!」

 しっかりせいと、恭子が清子を抱き起こす。
しかし。清子の表情はすでに、もうろうとしている。
手にしたままの甘酒のコップを、奪うように取り上げる。
『あれ?・・・・これって、もしかして?』
恭子が、コップに残っている甘酒と異なる液体の香りに、ようやく気がつく。

 「おばちゃん。
 これ、甘酒やないでぇ。ウチが持ってきた、お土産の濁り酒やないか!。
 おばちゃんも悪いが、ろくに確認もせず、一気に飲みほしてしまう
 清子も悪い。
 もう少し利口かと思っていたのに、意外と阿呆やな、この子ったら・・・・」

 『まぁまぁ、よくあることですから、清子の場合・・・・』

 たまが、慌てふためいている恭子とおばちゃんの2人を、涼しい顔で
見上げている。


(43)へ、つづく