赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 41~45
赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (42)
こだわりのラーメン
清子とたまが、ラーメン店の2階に落ち着いたのは、午後の1時過ぎ。
ひっきりなしだった客の動きに、ようやく陰りが見えてきた。
「もういいよ。ありがとう。疲れただろう」
そう言われたとき。すでに2階のテーブルに、あふれるほどの料理が並んでいた。
「カツ丼でしょ。カレーでしょ。八宝菜でしょ。
ラーメンも有るけど、餃子に野菜炒めまで並んでいます。
すごい量ですねぇ。
いったい誰が食べるのかしら、こんなたくさん」
「あんたが、身体で稼いだ戦利品だ。
遠慮しないで、みんな片っ端から食べて、片付けちまおうぜ」
「それにしても限度があります。
女子プロレスラーじゃあるまいし、あたし、こう見えても少食なんです」
口とは裏腹に清子が、目をキラキラさせて喜んでいる。
うれしそうに、テーブル上の料理を眺め回している。
『そうは見えないな。今の清子は、全身が食欲の固まりのように見えます』
ふふふと恭子が、ラーメンの丼を引き寄せる。
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 41~45 作家名:落合順平