赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 41~45
「15歳でホントのお母さんと離れて暮らすことを、選択したんでしょ。
離れて暮らしていて寂しくないの、清子は?」
「恭子お姉さんは、小さい時、お母さんと死に別れているんでしょう。
それから比べれば、まだ、あたしの母はピンピンしています。
元気に生きているんだもの。
それを考えれば、寂しくなんかありません」
「なるほどね。そういう考え方もあるね。
でさぁ。あんた。いつまで会津に居られるの?。
1ヶ月おきに、6人のお弟子さんのところを回ると、市さんから聞いたわ。
たらい回しされるようだけど。それって、本当なの?」
「湯西川に残っているのは、春奴お母さんと、一番下の豊春姐さんだけです。
半年のあいだ、各地の姐さんたちの様子を見ておいでと、
言い渡されております」
「ふぅ~ん。なるほど。
ものは相談だけど、あんた。ここでの滞在をひと月ほど伸ばして、
くれないかなぁ。
お盆まで、会津へ居てくれないかな」
「ひと月、余計に、此処へ居ろというお話ですか?」
「うん。あんたにやってもらいたい仕事があるの。
というより、立場的に、あんたにしか出来ない仕事が有んのよ」
「わたしでよければ、何でもします。
このあいだのラーメン屋の看板娘とか、酒蔵の看板娘なら
喜んで引き受けます。
少し疲れましたが、楽しいものがありました。
ラーメンもとびっきり美味しかったし、最高でした!。
恭子お姉さんの頼みなら、喜んで清子が、お引き受けいたします」
「大丈夫かい、お前?。
清子は少し単純すぎるから、見ていて危なっかしい部分があるんだもの。
頼まれてもかんたんに、安請け合いするもんじゃありません。
確認せず、濁り酒を一気飲みするから、気絶するんだ。
人の話は、最後までちゃんと聞きなさい。
そうでないとあとで、苦労する結果になる。
頼み事というのは、小春姐さんのことなんだ」
「小春姐さんに関することですか?・・・・いったい、なんでしょう?」
「ウチのパパと、小春姐さんの仲のことさ。
そう言われれば15歳のお前でも、なんとなく、見当はつくだろう?」
「はい。おおよそ・・・」
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 41~45 作家名:落合順平