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⑤残念王子と闇のマル

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なんだかそれが、カレンの情熱が冷めてきたかのように感じて、私はカレンの逞しい胸にすがりつく。

「すごく…しあわせでした。嬉しかったです。」

私が囁くと、カレンがふっと小さく笑う気配がした。

「マル…もう僕は、マルだけのものだよ。」

カレンの澄んだ優しい声が、胸板から耳へ直接響く。

「マルも、これで僕のものになった。」

頭と背中を優しく撫でられながら、カレンのその言葉に幸せを改めて噛みしめた。

「はい。もう離れないで…離さないでくださいね。」

私が胸板に頬を押しつけて言うと、カレンが再びギュッと抱きしめる。

「え~、それにはまだ足りないなぁ~。」

突然、おどけた様子でカレンが言った。

びっくりしてカレンから身体を離し、顔を見上げる。

すると、カレンが悪戯っぽく微笑みながら、私と視線を交わした。

「まだお腹空いてるんだけど。」

(!)

妖艶な微笑みに頬が一気に熱を持つのを感じ、思わず俯く。

するとその顎を捕らえられ、強引に上向かせられた私は、カレンに唇を塞がれた。

深い口づけを交わし、再び身体中に甘い痺れが走る。

銀糸を引きながら唇が離れると、それを舌でぺろりと舐めとりながらカレンが私の瞳を覗き込んできた。

「おかわり♡」

可愛く微笑まれ、あまりの可愛さに私もつられて頬が緩んだ。

「視察の準備があるから、それはまた後で。」

微笑みながら答えると、カレンが頬を膨らませる。

「えー!」

私はそんな可愛いカレンをキュッと抱きしめると、その頼りがいのある胸に口づけた。

「ふふ…。」

思わず笑いを溢すと、カレンも笑い出す。

二人でお互いを抱きしめ合いながら、午後の視察の時間まで、初めてひとつになれた幸せに酔った。
作品名:⑤残念王子と闇のマル 作家名:しずか