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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

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風呂上がりにテレビをつけると、寒冷前線の影響で雪が降るということをキャスターが繰り返し伝えているところだった。予報では今夜から雪だ。大雪の場合は道路や鉄道も規制されるため、朝の部活は難しいだろう。伊吹は副将の瑞に連絡を取り、部内の連絡網を回すことにする。

「明日雪だから、朝練はなし。安全に登校するように一年に回してくれ」
『雪?雪降ったら学校休みになるんじゃないんですか?』
「そう簡単にはならないよ」

なんだ、とがっかりした風に瑞の気配が伝わる。子どものようだ。雪国の学校というのは案外しぶといというか慣れているから、そんな簡単には休みにならない。

『寒いのやだな』
「風邪ひくなよ」

帰りに颯馬と話したことが頭をよぎる。

「おまえさあ、一之瀬が…」
『え?一之瀬?』
「…なんでもない」

颯馬がこのまま頑張っちゃったら、郁の気持ちがそちらを向いてしまうかもしれない。それでいいのかよ!と鈍感な瑞にイラつきつつ、他人の恋路には口を出すべきでないので黙る。
郁は、瑞に気持ちを知られたくないと思っている節がある。いまのいい友だち関係が壊れてしまうことが怖いのだろう。

(気持ちはわかるけど…俺はできれば、一之瀬と瑞がうまくいく未来を見たいよ)

颯馬のことだってかわいい後輩だと思っているけれど。
瑞には、郁のような素朴でのんびりとした女子がいいのだ。化粧や駆け引きの上手なのではなく、素直で優しい郁のような子が。きっと幸せにしてくれると思うのだが。

(…って俺この頃あいつに甘い。というか、なんか可愛がりすぎな気がするぞ…)

『どーしたんですか?』
「なんでもねーよ!」
『また怒る!なんで!?』
「さっさと寝ろ!」
『もー』