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遅くない、スタートライン 第4部 第1話 11/2更新

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(6)

ベリータイムズ・ミヒロのオープン1周年当日は、常連客さんからブーケやプレゼントをもらって、美裕はとても嬉しそうだった。また常連客さんもこの日の為に用意したおまけのスィーツも(プチケーキ)喜んでくれた。スィーツの横にチョコンとプチケーキ(この日はバナナのケーキ)もあり、千尋さんが育てたミントの葉がとても映えた。また、ファクトリーマシャや桑さん・氷室さん・アクシア製薬など多数の人や企業からブーケが届いた。

美裕はすぐに直コールでお礼の電話をした。また午後になると、雅樹兄貴ご夫妻に竜生兄貴ご夫妻がお祝いに来てくれた。春花さんは美裕のスィーツがとっても気に入ってて、この日は3個も食べた。雅樹兄貴は何も言わなかった。竜生兄貴が横で笑いを堪えていたが、久美子さんに睨まられて笑うのをやめた。

「はーちゃん(春花さん)もうやめとけば?」久美子さんが春花さんに言った。
「あとぉ2個食べていいよね?雅樹さん」あの春花スマイルで雅樹兄貴に言った春花さんだ。
ま、雅樹兄貴何やったん?( ;´Д`) 横の竜生兄貴もさすがにケーキ5個食べる春花さん見て口を押えた。
雅樹兄貴は頭をかきながら…
「もぉ堪忍してぇな!はるぅ」うなだれて言った兄貴だ。
「お土産にショーケースのケーキ買ってくれる?焼き菓子もね!」
「はいぃ…春花さん」雅樹兄貴はうなだれたまま返事した。

美裕も俺も雅樹兄貴に何て声をかけていいのかわからんかった。( ;´Д`) 
春花さんウワサに聞いてたけど、怖いぃ( 一一)また後で教えてくれた事だが、春花さんが【雅樹はん】って呼んだら激怒りで、春花さんが怒ったら…もちろん雅樹兄貴のご両親・兄ちゃん・こうマネに怒られるそうだ。
大人可愛い、普段は優しい春花さんだから、俺達はこの話を聞いて、マジで怖かった。( ;´Д`)

ま、後は春花さんは久美子さんと美裕・千尋さんと楽しそうに話をしていたが。春花さんがミントちゃんを弾きたいと言ったので、千尋さんがグランドピアノの蓋を開けた。

ウワサには聞いてたけど、この人はピアニストになってもおかしくないレベルだ。私は春花さんの弾く【英雄のポロネーズ】に驚いた。またおなかの娘も私がピアノを弾く以上におなかを蹴った。
「ッタッタ!モアちゃん加減してぇ」私は思わずおなかを軽く叩いた。
「み、美裕ぉ!モアちゃん蹴ってるの?」俺は驚いた。
「うん。もう軽快にリズムよく蹴ってます。春花さんのピアノが大好きになったみたい」

その声に雅樹兄貴の顔は一瞬緩んだ?竜生兄貴が俺に教えてくれた。
「その曲な!そこの雅樹兄貴が春花さんに度肝を抜かれた曲だ。ピアノ弾けるなんて一言も言わないで、ファクトリーマシャ倉庫のピアノで楽譜も見ずにイキナリ弾いたんだ。度肝抜かれたけどその曲が一番好きなの。雅樹さん」
「そうなの。知ってるでしょ?その人!福永雅樹バンドの第2ピアノプレーヤーで、ルチィちゃんよ。マックさんがピアニストデビューさせたかったけど、ねぇ。雅樹さん」
「できるかいぃ!もうこれ以上わらじははけんかい(から)」
その声に春花さんは…笑いながら言った。

「うんうん。福永雅樹の奥さんに5人の子供に柴ず3匹に、院長秘書に看護師に助産師に体が足りないわよぉ。そんなことしたらぁ…誰かさんが一番スネて寂しがるのよね?ね!雅樹はん」
雅樹兄貴はちょっと耳を赤くして、頭をかいた。
「大正解だな!」竜生兄貴が笑った。

兄貴達が帰ってから、美裕はグランドピアノに座った。もう弾けんでしょう?アンタ!
「あの小さい手で、指がすんごく長いのよね。すごいわぁ…あの人ぉ!千尋さん…あの春花さん!楽譜見ないで、あの超難曲【革命】弾くんだって」
「すっごいわぁ。ホント…神様って残酷なのか優しいのかわからなくなるわ。手首をヤラなければ間違いなく、一流のピアニストになったわ」
「ですよねぇ。でも…ピアノ弾いてる春花さん!いい顔してたぁ…優しくて、雅樹兄貴嬉しそうだった」
「結局のところ…あのご夫妻は今でもラブラブってことだね」雄介義兄さんが言った。

オープン記念も終わり、美裕は自分のできる範囲で荷造りを始めた。大きい家具やキッチン家電は、高茂久院長先生がそのまま置いて行ってほしいと言った。また家族も増えたし、家電も家具も買いなおさなければいけないと思っていたから助かった。(処分も料金要るからな)

家具も家電もまた問屋さんで買えばいいと言ってくれた。高茂久院長先生は、美裕に特別優待券を渡してたな!美裕喜んでいたわ。さて…俺もそろそろ荷造りしなきゃな!

「ホント…2年で激変だわ。ワタシの人生」美裕は俺を見て言った。
「俺かってそうでしょ。お互い様ですぅ!俺ら」
「わかってますがなぁ!パパ」美裕は笑って答えた。
「そうですよ。アンタ!来月には子供2人の親ですよ。美裕さん」
「うん。かわいいあっくん兄ちゃんに娘が産まれるんですよ。雅人さん」
「うん。あっくんの兄ちゃんぶりがますますヒートアップするぜ」
「うん。間違いなく!あぁ…そろそろ帰ってくるわよ。健太郎おじちゃんと!」

あっくんは、今日は健太郎義兄さんと尚君とで空手の試合を見に行ってるんだ。(#^.^#)
また帰ったら、俺を相手に技の練習しそうだ。( ;´Д`)

ベリータイムズ・美裕のオープン記念イベントが無事に終わって、美裕はもう後は出産を待つばかりになった。妊娠後期も適度な運動も必要だから、美裕は調子が良ければ、あっくんの幼稚舎の送り迎えと歩いた。また俺とも歩いたなぁ。柴犬姉弟達の散歩も行った。今に思えば美裕はよく歩いたわ。あのデカイおなかで!俺も両親学級や疑似妊婦体験もしたけど、男だったらガマンできんわ。男の方が我慢が利かないわ、と俺は思っている。

新居も近くなので、俺は車を使って小さな荷物から運び始めた。もう内装も乾燥の段階に入ってるので、車庫の棚に荷物を置いている。また千尋さん達はマンションの売却も高茂久不動産部に依頼し、リノベーション工事をした。すぐに買い手がついた。マンションのローンはもう完済してたので、いくらかは手元に残ったようだ。あの千尋さんが契約したんだ。抜かりはないって!(#^.^#)

それから…数日してハガキが届いた。誰からだ?俺はハガキを表に返した。

「良かったじゃない。修復できたんだね。彩華さん」
「うん。良かった良かった!あっくんにも見せてあげなきゃな!異父弟だけどさ」
ハガキには、彩華にダッコされたハーフの赤ちゃんが笑っていた。また横にはイケメンの旦那さんが写っていて、
「頑張りました。これからも頑張ります。あきとの事よろしくお願いします」と書かれていた。

「頑張れよぉ!あっくんの事は任せておけ!彩華さん」

俺はハガキの彩華に向かってエールを送った。