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こーぎープリッド
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ナルの夏休み エピソード0-0

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「全人類を統一するのは難しいです。こんな小さい惑星なのに」
「で、話が違うのですが人間は生きたまま『臨死体験』ができるのですか」
「できます。悪いことすれば脳に強い報酬を与えます。人間の脳は、どの動物よりも発達していますから、その分、脳に報酬を与えないと、生きる活力を与えません。今は性犯罪をしなくても、誘拐された人に麻酔なしで頭の皮をはがし、電極を埋め込んでわざと臨死体験をさせます。強い幸福物質が生成されるので、それを吸い取るのです。死ぬまで」
「それは残酷です」
 私は気分が悪くなった。


「ご、ごめんなさい。戸松さん、大丈夫ですか」
「だ、大丈夫です。気分がすぐれないので、保健室で休ませてください」
 私は、アフリカで人間の脳を生きたまま取り出すという話を聞いて、それがトラウマになった。
 それが15分後、まだ授業中だけど、地理の先生が保健室に入ってきた。
「戸松さん、ごめんなさい。さっきの授業のことを忘れるように、薬を持ってきたの。とても高価だけど」
 教師は生徒を傷つけてはいけない規則がある。
「まあ、今回の件で今年のボーナスがなくなってもいいから。ねえ、この薬を飲みなさい」
 水と一緒に、生徒の心が傷ついた時に飲ませる薬、それが、人間の脳から取り出した幸福物質。うまく精製しないと、強烈な依存性がある危険な薬品。他の薬品と一緒に飲む。依存性が強い。強烈な快感、幸福感を感じる。
 私は他の薬も飲む。近くには保険医と薬剤師がいる。
「ごめんね。地理の授業で変なこと言って。戸松さん。他の生徒にも悪影響ないか。緊急検査することになったの」
 私は薬を飲んで、数分後、とてお幸せな気持ちになった。自分の身体から魂が抜けたように感じ、天井に私の魂がいる。ベットで寝ている私が見える。3人の女性の先生たちが見える。
『とても幸せ。これが臨死体験なの。私は死んだの。それとも生きているの。夢とは違う。意識がはっきりしている』
 私の魂を先生たちの近くへと下ろした。足元に感触がない。立った気持ちがしない。『先生、先生』私の魂が先生たちの体をすり抜ける。先生の身体の中に入ることができる。その時、先生の心の中が読める。
『ほんとうに、今日はへんな授業をしてしまった。責任重大。他の子にトラウマを与えていなるかも。どうしよう』
 そのとき私の目の前に先生の子供時代の風景も見える。先生の目線で保健室がダブって見える。
『はじめて・・・。言葉では表現できない。これが臨死体験。でも機嫌がいい。なにもかも許せそう。私、このまま死にたくなった』
 そのとき、急に暗いトンネルを猛スピードで通り抜け、思い出が走馬灯のように巡る。
『お父さん。なんで死んだの。もし、私がそのまま死んだらどうなるの』
 周囲は真っ暗で風がない。猛スピードを感じる。そして徐々に遠くに光が見える。
『なんなの天使様』
 私は天使なのか神様なのか知らないけど、人間の人智を超えた存在を感じた。頭の中で、どこの国の言葉でもない思考のみが入った。
『あなたには人々のために、励ます義務があります』
 その声、いや考えが入ったとき、私は死んだお父さんと会った。
『お父さん。迎えに来たの』
 そのほか祖母、祖父、見知らぬ人々も来ていた。
『お父さん・・・』
 お父さんは笑顔で私をみつめた。身体に重さを感じない。遠くに川が流れている。そこをお父さんたちと渡ったら、私は、あの世に行く。
『みんなを元気つけなさい。純粋な気持ちを忘れるな。じゃあ、しばらく会えないけど、お母さんによろしく』

 気がついたとき、私は病院のベットで寝ていた。
「先生、気がつきました」
 看護師が言う。
「おはよう。どうして、ここで寝ていたの。今朝、亡くなった、お父さんとあった夢を見た」
 看護師と医師は、安堵の表情を浮かべた。