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こーぎープリッド
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ナルの夏休み エピソード0-0

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 人間の幸せは相対的なものだと悟った。みためが惨めで悲惨に思える社会でも、そこに適応すれば、幸せな人生が送れる。では「幸福」とは何だろうか?

 この社会では、鬱憤がたまる。それを発散させるためにローラーボールとか、アイドルでストレスを軽減させている。規則が厳しすぎる。週に一度は、医療、IT、精神、経済のカウンセリングを受けなければならない。病気も怪我もほとんどない。とても快適な社会だと言われた。でも、徐々にくすぶっているのが、民主化運動。

 アキバという政党の解体。政党の分割化と競争化。企業の分割と競争化。過剰な管理社会の廃止。確かに福祉も充実している。過度の不満分子でなければ、更生施設に入れられない。でもアキバという企業と政党は、世論に決して屈しない自信がある。不満に思うなら、「どうぞ出ていってください」というように、近くにある「自治区・自治共和国」に引越しをすればいいけど、あとは自己責任で自分の身を守らなければならない。

「南さん、自治共和国にもアイドルがいるのですか」
「います。この日本列島本土よりも、アイドルになるのは簡単ですけど、何を要求されるかわかりません。ヌードモデルをすることも要求されますよ」
「それは、嫌だわ」
「でも、この本土よりも、敷居は低いです。羞恥心がなければいいのですから」
「私、からだに自信があっても、そこまでできない」
「まだ12歳。自治共和国でも法律では、15歳未満のヌードは禁じられています」
「そうなの。でも私、この本土でアイドルになる。だから、本格的にダンスができて、そして、作詞作曲ができるボーカリストになる」
「がんばって。応援するから」

 23世紀の日本には、日本の中に自治共和国という半分独立国みたいな国がある。北海道と大阪にある。そこに行けば自由があるけど、社会は保護してくれない。

 毎月、北アフリカでは殺人レースが開催されている。
 エジプトのカイロから、モロッコのカサブランカまで、どれだけ人を殺したか競争する。

 機関銃で人を殺す。殺された人たちの脳を摘出する。そこから臨死体験をした人の脳から「幸福物質」を取り出す。

 年間、数千人もの人たちが自動車で轢き殺される。機関銃で蜂の巣になる。
 老弱男女関係なく、いきなり殺される。レースは予告なく開催される。合法的な殺人ができる。

 人類の人口の80%は中東や北アフリカに人口が集中している。でも一般人が電気と自動車の使用を禁じられている。大部分が文字が読めない。学校で教育を受ける機会がほとんどない。飢餓も年々拡大している。
 近代文明は宗教家だけが独占し、宗教家だけが政治支配をしている。貧富の差が激しいし、それに見かねて多くの善良な人たちがボランティアとして世界中から来るが、ほとんどが5年以内に誘拐されて奴隷にされるか、殺される。

 電気も機械もない社会では、宗教的な因習が根強いけど、私たちが暮らしている日本列島よりも幸せそうにみえる。病院も不足しているし、娯楽が禁じられている。

 一般庶民でもストレスを軽減させる脳内チップを入れられたり、脳にストレスを遮断する薬を飲まされる。奴隷のように扱われても、犬や猫以下の扱いされても自分が悲惨な人生を送っているとは思っていない。そして、奴隷としての価値がなくなれば、麻酔なしで生きたまま頭の皮をはがされ、頭蓋骨に穴を開けられ、生きたまま脳を摘出する。

 脳に幸福感を司る部分に電気で刺激すると、ものすごい量の幸福物質が生成される。脳から純度が高い麻薬やモルヒネがとれる。脳からものすごい勢いで、さまざまな幸福物質や麻薬が吹き出す。

 生きたまま脳を摘出された本人は、脳を取り出された時点で、意識はない。自分が死んでいることに気がつかない。

 中東や北アフリカでは、重度の統合失調症や、躁うつ病の患者が多い。社会生活ができなくなれば、生きたまま脳を摘出される。幸福物質は、中東や北アフリカでは安く手に入る。当然、日本から多くのサイコパスといわれる良心の呵責を全く感じない人間がたくさん来る。

 悪人は決して不幸にならない。善良な人間だから悩みという概念がある。