ナルの夏休み エピソード0-0
北海道には280もの学園都市がある。空港の周囲に学園があり学生寮と教師のアパートがある。商店街やスーパーマーケットもある。さまざまな人たちが暮らす。大部分が学生が住むけど、学園都市は「外地」と呼ばれている。
深刻な病気は、学園都市では、躁うつ病患者が多い。福祉に力を入れている。『内地』から多くの善良な人たちが、介護の勉強をして、『外地』の、ひどいうつ病の人たちに「おむつ」を取り替える。ひどいうつ病だと、トイレにいくのもめんどくさくなる。食事をするのも嫌になる。うつ状態が終わると、躁状態になる。
躁状態になると数日感も寝ずに過ごせる。気分が最高になる。そんな状態で「幸福物質」を飲むと、そのまま目が天井を向き、恍惚な表情のまま、あの世に行く。
躁うつ病になると60歳までは生きられない。躁状態になると老化した身体が持たない。心臓に大きな負担をきたす。たいていの場合、躁鬱病や統合失調症が重くなれば、異常なほど糖分を取る習慣がある。だから糖尿病になる。どんなに医学が進歩しても、人類から病気はなくせない。
子供っぽい顔、きれいな肌でスタイルが良い南先生は、42歳になるが、見た目は22歳くらいで、大学に出たばかりに見える。
「蒸し暑いわ。ちょっと脱ぐから」
南先生は大きなバックを持ち、すぐに髪の毛を隠すスカーフを外した。南先生は、ロングスカートのワンピースにその下には肌を一切出さないためにレギンスで足元の肌を隠している。長袖のロングのワンピースには大きな襟があり、腰のくびれが見えないようにジャケットを着ている。
「ちょっと女子トイレに行くから。この季節だと蒸し暑いし」
「南さんは、洋服にエアコンがついているハイテクのワンピースを着ていると思いました」
「あれは、いろんな機械がついているしネットに接続しているから、重いのよ。それにコンピューターに囲まれるのも嫌だし。でも、ほんとうに何でもかんでもネットで接続なんて嫌な時代」
それから、10分後、大きな紙バックをもった南先生は、ホットパンツにタンクトップという服装で出てきた。胸元を広く露出し、とても細い肩ひも。背中が丸見え。ホットパンツもお尻の丸みが見える。
「ちょっと露出が激しいかしら」
「南さん、これでは水着と変わらないわ」
紙バックから、半袖のジャケットを着た。
「でも、私たちの言動は常に監視されている。でも、その枠の範囲なら何をしてもいいの」
「そうなの。だからドレスコードもないから服装は自由なの」
「南さんは、子どもっぽい顔で肌がきれい。なんで」
「アンチエイチングなの。ナノマシンで老化を抑えているけど、体力の衰えは、どうにもならない。見た目だけが若いのよ」
「そうなの。私のお母さんよりも若くみえる」
「さっき話した中東や北アフリカの人たちのほうが幸せだというのは」
私は、疑問になることを質問した。
「この社会は、相互監視することで秩序を保っている。日本列島にはいくつかの自治共和国、自治区がある。誰でも自治共和国に永住する自由があるけど、犯罪もあるし、人権も侵害される危険性がある。でも、良い人を演じる必要がないし、個人の人格の自由がある。だから性格が悪い人も多いけど、監視されない。中東だと宗教法のもとで、ある程度保護されている。まあ、弱肉強食だけど、強い人は殺人をしても、お金があれば何十人殺しても殺人罪にならない。なんというか、この日本列島では得られない喜びと幸福感が得られるのよ。あの『幸福物質』も人殺しさえすれば、タダで強烈な幸福物質がえられる。セックスの200倍の快感なのよ」
「その幸福物質は中毒性があるでしょう」
「そうなの。でも、不完全で年々、社会が悪化しているけど、そこに暮らす人たちは、私たちよりも幸せ」
「そう。でも、今の話、もう聞かれているわ。問題発言ではないの」
「大丈夫よ。全体主義だからこそ、自由に意見が言える。政府は決して言論に屈しない自信があるから。もし嫌なら自治区や自治共和国に引っ越せばいいだけなの」
「自治区と自治共和国は、道路が左側通行以外は、ほとんど法律が違うのでしょう」
「そうなの。でも、引っ越せば政府から保護されない。あそこも弱肉強食だから。だからホームレスもいるのよ」
「いまどきホームレス。そんなの絶滅したと思ったのに」
「地球の地表70%はアキバが支配してい地域には、ホームレスはいない」
作品名:ナルの夏休み エピソード0-0 作家名:こーぎープリッド