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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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入院中の話

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 そして午後4時頃。スティーブンが点滴を引きずってトイレから病室に戻ってくると、ヴォーカルのフィル、ギターのヒューゴ、そしてベースのジミーがドアの前に立っていた。
「「「「あ!」」」」
 全員が同時に驚いた。
「フィル兄さん、ヒューゴ兄さん、ジミー兄さん!来てくれたんですね!」
 喜ぶスティーブンに、フィルはサイドハグ(横からのハグ)をしてきた。少年はちょっと驚いたが、すぐに笑顔が戻った。それから彼は周囲をちらちら見て、3人を病室に招き入れた。
「あの、話は中でしましょう」

              (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n)

 ベッドの上に座る年若いギタリストに、ヒューゴが、点滴装置を見て苦笑いしながら言った。
「随分大変そうだな」
 スティーブンは、恥ずかしそうに答えた。
「え、あ、まあ…」
「で、体の具合はどうだい?」
 フィルが話しかけると、スティーブンは、自虐ネタのように話した。
「いや、歩くとまだ傷が痛いです。さっきみたいにトイレ行って戻るのも、ちょっとした地獄ですよ」
 それを聞いてフィルはちょっとだけ笑った。
「まぁ、手術した所があれだからね」
 そう言われて、スティーブンが恥ずかしそうに視線をそらした。
「そこは触れないどいてやれよ」
 常識人のジミーがたしなめたが、その顔は笑っていた。
「そうだな。ごめん、スティーブン」
「いや、大丈夫です」


 その直後、彼は少し表情を曇らせた。
「それより俺、マスコミとかがここに来たらどうしようって思うんです」
「あ、そうか…」
 フィルたちは、悩み顔をした。
「ただでさえヤバい所の病気なのに、興味本位で突撃が続いたら、ストレスで余計体調崩すかもしれないです」

 しかし、ジミーは思い付いたように言った。
「いや、心配することないよ。そこは自分たちががっちり予防線張ってあるから」
 フィルとヒューゴも、お互いに「そうだよね」と言うように視線を合わせた。彼らの様子を見て、スティーブンも安心したようだ。

              (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n) (n*´ω`*n)

 ヒューゴが落ち着いた調子で言った。
「ま、何にせよおまえが元気そうで何よりだ」
「母さんとおんなじようなこと言ってる」
 スティーブンはそう言って、クスッと笑った。


 やがて、彼らが仕事場に戻る時間が近付いてきた。
「それじゃスティーブン、ゆっくり休んでね」
「無理はするな」
「お大事に〜」
「あ、ありがとうございます」
 彼は、病室を後にするメンバーを見送った。
作品名:入院中の話 作家名:藍城 舞美