遅くない、スタートライン 第3部 第5話10/14更新
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俺は後ろから准に羽交い絞めされ、真吾に雑誌で頭を軽く叩かれた。
「ご機嫌やねぇ…マサ君!何があったん?ダチの真吾ちゃんと准ちゃんに言うてみぃ?あぁ、耕太も今…スマホで見てるで」横を見たら、兄貴分に言われたのか…直人が真吾のスマホを操作していた。
「すんません…MASATO兄貴ぃ」うなだれながら、スマホの録画ボタンをフリックした。
俺はコイツらに美裕とのコブなしデートの事を白状された。だって…目の前に雅樹兄貴と竜生兄貴がいて参加したんだもん。正直に言わんと今後の俺の扱いが目に見てるから ( 一一)
「ップップ」雅樹兄貴と竜生兄貴は口を押えて笑った。真吾達も笑いながら俺の羽交い絞めをした。直人は笑うわけにいかず、下向いてた。でも肩が震えていたぞ!ッテメェ…覚えてろよ。
「いやぁわかるわかる…美裕ちゃんもご機嫌さんだった。そういや」雅樹兄貴が笑いながら言う。
「うんうん…この時期はなぁ!安定期やし…真理子第2副院長先生から小冊子もらったらいいってことよ。あぁ!懐かしいぃ!」竜生兄貴は思い出したのか、顔がニタついたぞ。あぁ…竜生兄貴のところは去年、長男の一生君の下にさぁ!男の子が誕生したんだ。
久美子さんはもう年齢的なものあるので(そうか?若々しいと思うぞ。俺)諦めていたそうだが、竜生兄貴は頑張った(*^^*)みたいだ。一生君とは6歳違いで、美菜子お姉ちゃんとは9歳違いだ。年の離れた弟に2人は喜んだそうだ。今も2人のおもちゃらしい。次男の光生(こうせい)君!久美子さんはお姉ちゃん・お兄ちゃんがよく面倒をみてくれるので助かると、妊婦検診に来た美裕に言ったそうだ。もちろん、竜生兄貴も仕事後はダッシュで帰り、お風呂にミルクにおむつ替えに勤しんでいる。
「かわええよなぁ!赤ちゃん時代って!うちは去年…久しぶりに光生ができてさ。最初はテンヤワンヤだったけど、今じゃ見事に連係プレイだぞ。マァんとこもそうだったろう?」
「うんうん…あのミルク臭さにさ、何もしていないのに…ウックンとか声がでてよぉ。舜樹の時は初めての育児でさ、わかんなかったけど。上のふたごが産まれて、あぁそうかと思うこと一杯あった。下のふたごは舜樹が面倒みてくれたぁ。また上のふたごはそれみてマネする」
この言葉に、准達もうなづく。
「子供ってさよぉく見てるぞ。うちの夕菜なんか!いつの間にか梨子のマネができて、今じゃいっぱしのママだぜ。隼(はやと)に教えてるわぁ。梨子のおなか触ってさ、【もうわかるよね?ゆうなの声とはやとの声】とか言ってんだぜ」
ここも…今度の6月に第3子が産まれる。もう性別もわかってるそうだ!ホントぉ…ファクトリーマシャは子だくさんだ。
でも兄貴達は…また例のスマイルをし、真吾に笑いかけた。准が真吾に目線を向け、また真吾はライブ配信中の耕太を見た。芋づる式だ…(*^^*)
「ふぅん!何で先に俺に報告せんとね?」マァスマイルをしながら、真吾のおでこを指で突っついた。
竜生兄貴は…スマホを操作している直人に自分を映すように言った。
「耕太おとう…どーいうこと?」とあの竜ちゃんスマイルをした。
帰ってから…美裕に言ったら驚いてた。
「それって芋づる式でバレたってこと?」
「うん。真吾んとこは7月で、耕太んとこも同じ7月でさ。真吾んとこ…」
俺は美裕に耳打ちをした。
「ふ、ふたごぉ?」
「うん。だから安定期なるまで口つぐんでおこうと思ったみたいだけど」
「できましぇん。ムリ( 一一)」
「だろ!で、真吾は腹いせに直人の事バラしたんだ。なんだと思う?」
「え…直人君も赤ちゃん…なワケないか」
「まぁな!アンタ…俺知らんかったですわ。直人!遠距離恋愛の彼女いるんだ。それも5年越し!」
「きゃぁ!じゃ…」美裕は口に手を当てた。
「はい!雅樹兄貴の許可が出まして、6月にジューンブライドで結婚式するそうだ。仲介人は雅樹兄貴ご夫妻だって。式にもパーティにも美裕さんと一緒にぜひ来てくださいって。あっくんも」
「行く行くぅ!おめでたい話ばかりだね。ファクトリーマシャのスタッフ(*^^*)あぁ!いいこと思いついた」
美裕はエプロンのポケットからメモを取り出して、笑いながら何か書いていた。いやぁ…また思いついたん?美裕が笑いながら、メモを書いている時は作家業エリアだ。今度は何書くんだ?自分の奥さんだけど、この閃きには先輩作家である俺は負けるわぁ。(*^^*)
俺は家に帰ってから、あっくんを膝の上に座らせて、男同士の約束をした。
「パパが居ない間は、ママのお手伝いしてね。またママを守ってくれる?あっくん…男の子で兄ちゃんなるだろう」
「はーい!」と手を挙げて、俺と約束の指切りをした。
明日から俺はホテルで泊まりになる。ドームは東京からスタートだが、初日とあって俺は前日からホテルに泊まりこむことにした。東京だから、美裕とあっくんも連れて行く!2人は俺の癒しだから(*^^*)
東京が済んだら、関西や九州や北海道と遠地に赴く。関西までは来れるが、九州や北海道はムリだ。だから2人はお留守番なんだ!連日続けてドームコンサートをするわけではない。2週間の予定で行う。その間にドームコンサートだけではなく、他の仕事も入れてるから。
また俺が不在の時は、千尋さんと達が家に泊まりに来てくれることになった。有ちゃんや健太郎義兄さんも交代で泊まりに来てくれる。今は安定期に入った美裕だが、やはり心配だ。俺の申し出を快く…姉兄家族は承諾してくれた。その代わり、お土産一杯買ってこいと言われた。あぁ…加奈ちゃんも泊まってくれる。これで安心して俺はドームコンサートに集中できる。
俺は早朝からドームコンサートに行った。リハーサルとステージの確認だ。美裕達は後で来る。バンドメンバーと実際にステージの端から端まで歩いて、振りをつけながら移動したり、チェック作業だけでも大変だった。俺は途中で衣装合わせにカラーリングに、着せ替え人形のようにされた。雅樹兄貴達も応援に来てくれ、俺の大好きな横浜のカツサンドを差し入れてくれた。東京初日は、雅樹兄貴と竜生兄貴が特別ゲストで出てくれる。関西は准がでてくれて、北海道は圭吾兄貴と耕太が出てくれて、ラストの九州は真吾が出てくれることになった。途中…テレビ中継も入るそうだ。また…ップップ(*^^*)タモさんの番組だよ!
どんなサプライズされるやら…俺は今から胃が痛かった。( 一一)
作品名:遅くない、スタートライン 第3部 第5話10/14更新 作家名:楓 美風