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遅くない、スタートライン 第3部 第3話9/23-3更新

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(5)

「すっごぉい歓声だね!7年ぶりに登場したのに!MASATOおかえり!!」
タモさんは歩きながら、歌手・MASATOに近づいて行った。
「ありがとうございます!タモさん!そしてただいまです!」
タモさんが出した手を握り、手を握ったまま頭を下げた歌手・MASATOだ。

「うん。おかえりぃ!おまえ…7年前の事は今日のステージでワビ入れてもらうからな。しっかり歌えよ!」
「はい!でもちょっと水分補給させてぇ。もぉノドカラカラで、脱水状態なりそー」
その声に同期ダチの准さんが、ミネラルウォーターのボトルを持ってきて。
「ホントだよ!ね!今日はガッツリ歌ってもらおうな!みんな!!」
その声に大ホールでまた、割れんばかりの歓声が上がった。
「俺が開けてやるよ…俺優しいから」とミネラルウォーターのふたを開けた准さんだ。
「ありがとぅ!おまえのその優しさは裏があるちゃうんか?なんやねん?」と神戸弁で答えたMASATOだ。
「タモさん…そろそろネタばらししないと。MASATO…顔笑ってるけど、こめかみに筋入ったです」
横の真吾さんが笑いながら言った。

ステージ上がってる時は、美裕達が見てることも忘れてる俺だ。直前まで覚えていたが、ドラムが鳴った瞬間に俺の頭の中から美裕達の事はかき消えたから。何言ってんだ?真吾のヤツ?

そしたら、ステージ裾から大ドンの桑さんと氷室さんが出てきた。また大ホールはすごい歓声だよ!
「いやぁ…7年前は青臭さがあったけど、エエ男になりましたな」
「MASATO!エエ男になったご褒美あげるわ。桑さんと氷室さんがな!」

「な、何ですの?桑さん・氷室さん!これ以上サプライズはやめてください。俺心臓もたん」
の声にまた大ホールから笑いが起こった。
「エェ…デカイ図体してるのに!小心者ってマジやな。ね!いつもそうなん?あっくん」
え、何でここであっくんの名前が出るんだ?もしや…

舞台裾には三ちゃんに手を引かれたあっくんが立っていた。三ちゃんにうなづかれて、スタッフに手渡されたミニブーケを持って、あっくんは歩いてきた。桑さんがあっくんの手を握って一緒に歩いた。氷室さんにうなづかれて、桑さんにもうなづかれて…

「パパぁ!おめでと」と俺にミニブーケを渡して俺の肩に抱きついたあっくんだ。
「あ、ありがとぉ…あっくん」ビックサプライズに思わずどもってしまった俺だ。
大ホールから拍手が鳴り響いた。

「もう1人いてるんやけど、どーする?」またタモさんは俺の顔を見て笑った。ッゲ…美裕ぉ?
「エ、エェ…ステージで貧血起きたら困るんで、それはちょっと」俺が困惑の顔をしたら…
「大丈夫!大丈夫!ワイフ軍団の親分と一緒やから!」桑さんが笑いながら言った。
後で聞いたんだが、その時の雅樹兄貴は下を向いてため息をついていたそうだ。

その時だ…マイクがつながる音がして、凛とした声が大ホールに響いた。
「桑さん、今何かおっしゃいました?私…ここで引き返してもよろしいですか?横の人も」
その声に…(台本だと思う)
「す、すんません!!春花さん!!」桑さんは大げさに謝った。ステージで頭下げて、
「すみません!!ワビは福永雅樹に入れさせますかい!」氷室さんもステージで頭を下げた。

「く、桑さん!!ひ、氷室さん!!何で俺なんですか!!」雅樹兄貴が抗議した(笑)
もう大ホールが笑いが止まらなかったよ。この瞬間!

雅樹兄貴の奥さんの春花さん・竜生兄貴の奥さん・久美子さんと圭吾兄貴の奥さん・女優の坂口あすかさんが美裕の前後に並んで歩いてきた。美裕…春花さんにしっかり手を握られていたな。顔が赤いよぉ。美裕!ステージで倒れるんちゃうか?俺はそればかり思っていた。

タモさんがあっくんにマイクを近づけて、
「ママの手を引いて、パパのところに連れてきてくれる?」
あっくんは手を上げて【はい】と言い、美裕の方に歩き出した。

「あっくん…ゆっくりだぞ。ママの手しっかりにぎって」俺はあっくんに言った。
「うん」あっくんはうなづいて、歩き出した。

美裕は足を踏みしめるように歩いたようだ。あぁ…怖い!ステージじゃなきゃダッシュで俺は美裕のところに行きたかったが、あっくんに一任したからな。

桑さんが…俺にうなづいた。紹介しろかぁ?桑さんの返答はあの桑さんスマイルだ!絶対だ!!
俺は軽く息を吐いて、美裕のそばに行った。
「もぉ…とんだサプライズで俺…心臓バクバクなんですけど。」
その俺の声に、また大ホールから笑いが起こった。


「紹介します…俺の嫁さんと息子です。嫁さんの美裕と息子のあきとです」
「ふくだあきとです!もうすぐ5歳です」
「妻の美裕です」赤い顔で2人は頭を下げた。

もうアリーナ席から質問の声が上がる上がる!

「そうですよん…スィーツロードのモデルパティシエ・新人作家のMihiroです。なんや…バレバレやん」
その声に美裕が俺を睨んだが、桑さんに突っ込まれては大変だと思ってすぐに下向いた。春花さん達に事前にレクチャーされたようだ。桑さんは、【チェッ】と顔をしていたな。(笑)

「はいはい!聞きたいことは山ほどあるんやろうけど、もう勘弁してぇ。うちの嫁さんこれ以上ステージにいてたら貧血で倒れる!倒れたら、俺はいくら何でもベリータイムでパティシエはできません、ほら!あっくん…ママの手を引いて三ちゃんのところに行き!」あっくんと美裕はステージに頭を下げて歩き出した。

大黒柱3人組が俺に近づいてきて…
「さて、7年前のワビ入れてもらおう」
「MASATO!俺らのバックに入れ!あぁ…圭吾が一緒に踊れって」と言われた。
「エェ!!い、イエ…わかりました」俺は横のスタッフにギターを渡した。