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遅くない、スタートライン 第3部 第3話9/23-3更新

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今日の特別ゲストも誰が出演するのかもシークレットらしい。テレビの番組表にも何も書かれていない。タモさんはいつもSP編は出演者をシークレットにするのが好きらしい。ま、口コミやメディアサイトでおぼろげに出演者がわかるけどね。

私とあっくんはボックス特別席で開演を待っていた。あっくんは珍しいのか、最初はキョロキョロしていたが、私も同様でキョロキョロしていたが、千尋さんに叱られた。( 一一) 千尋さんご夫妻は雅樹兄貴からご招待を受けていた。有ちゃんはアリーナ席で見ていた。有ちゃんもご招待でバイト友達と来ていた。

場内が暗くなった。また竜生兄貴のご配慮であっくんには子供耳栓をさせていた。あっくんが私の手を握った。暗くなったから怖いもんね。

タモさんがなんと…アリーナ席に座っていた。照明スポットが当たってから、すごい歓声だ!
「こんばんわぁ!!」の声に大ホール全体から、
「タモさん!こんばんわぁ!!」の声が返ってきた。大ホールにやまびこの様に響いて、あっくんも私も驚いてしまった。

「今日は誰が出ると思う?恒例の事だけど、シークレットにしてるからさ!わかんないか?でも今日は超ビックリするじぇ!3時間生ライブ楽しんでくれ!!では!!トップバッター!!よろしく!!」
その声にまた場内が暗くなり…次の瞬間にステージのセンターが明るくなった。センターには男性アーティストが1人観客席に背中を向けて立っていた。顔もうつむいて…一瞬誰かわからなかったが!

聞き覚えのある曲のイントロが流れたら…大ホールの観客達は総立ちになった。またコールも始まった!

「マ・サ・ト!!エム・エ・エス・エ・ティ・オー!MASATO!!」
あっくんと私は顔を見合わせて、思わず手を合わせて喜んだ。

マサ君・パパこと歌手MASATOがステージに向かって顔を上げ、次の瞬間…あのMASATOスマイルをした。絶好調時代のスマイルも良かったが、少し大人になったMASATOのスマイルに大ホールの女性陣から黄色い声があがり、男性陣からはどよめきの声が上がった。私は驚きで手が震えたが、私の震えた手をあっくんがギュッと握ってくれた。いや、あっくんも驚いたんだ。無意識に私の手を握ったようだ。

「こんばんわぁ!!お久しぶりです!!主題歌の時は出演しなくてごめんな!!今日はそのワビも入れて、全力で歌います。よろしく!!」歌手・MASATOは右手を上げてバックバンドにうなづいた。
またそのバックバンドはみんなキャップを被っていたが、演奏が始まる前に自分で被っていたキャップを脱いだ。もう…大ホールが歓声で割れるんじゃないかと思うぐらいの、大音量だった。あっくんに耳栓させてよかった。

観客が驚いた理由は…ギターに坂本 准さん・南 慎吾さん・バックダンサーに月岡耕太さんが入り、またステージの階段を下りてきたのは、エレキギターとベースギターを演奏しながら下りてきた、福永雅樹さん・本橋竜生さんに2人の周りを軽快なタップで踊っている 坂口圭吾さんだ。もぉ…すごいメンバーだ!!これはシークレットにしないとダメだわ!!

ドラマーの卓さんが…
「ワン・ワン・ツースリーホォ!!」の声に…
「♪イッツァ!サマー!!」歌手・MASATOのよく響く低音の声がホールに響いた。


絶好調時代にオリコンで初登場で1位を獲得した【Summer】だ!私も大好きだ!この曲!!ノリのいい曲でテンポも軽快でアリーナ席の観客はステップを踏みながら一緒に歌っていた。またMASATOもそれが嬉しいのか、ステージで一緒に軽快なステップを踏みながら歌い、ダンサーの圭吾兄貴・耕太さんと踊った。

1曲目が終わり、今度はMASATO自身がギターを持ち用意されたチェアーに座った。顔から流れる汗…でもその汗を手で拭うこともなく演奏を始めた。ドラマの主題歌でもある【スィーツ・マジック】を弾き語りで演奏した。この日の為にバンド仲間とアレンジをし猛練習したそうだ。あっくんが言ってた…

「パパ…ゆびにバンドエイドまいてた。3本」と私に教えてくれたんだ。それだけ歌手・MASATOの想いがこもっていたんだ。アレンジした【スィーツ・マジック】は!
「♪だから、そんな時は君に魔法をかけてもらいたい。心が元気になれるように…」
ギターが静かにエンディングしたが、次の瞬間にまた大ホールから割れんばかりの拍手と歓声が上がった。私はまた無意識に涙が流れていたようだ。千尋さんにハンドタオルを手渡されたあっくんは、私の目をハンドタオルで押さえてくれた。
「なかない・なかない・ママぁ」とあのあっくんスマイルをしてくれた。私はうんうん…うなづくしかできなかった。それを大ドンがステージ裾から見ていて、プロデューサーに合図した。またタモさんのイヤホンにも指示が入ったようだ。