そわそわと(双子と三つ子)
人の出入りが増え始めた入学式会場の玄関ホール。
三すくみ状態の、同じ姿形の3人の女子。
物珍しげな視線が 間欠泉の様に投げかけられるのを、私は ひしひしと感じ始めます。
その時、ホールに声が響きました。
「とおちゃーくぅ!」
「佐美さんが、先に着いてる筈なんだけど…」
言葉を発した人物に注目する 私と佳子と、見ず知らずのそっくりさん。
その先に立っていたのは、私達3人に瓜二つな 2人の女子生徒でした。
3つの視線を受け、2人は目を丸くします。
「さ、佐美が…さ、3人に増えてる!」
「…いつの間にか私達、五つ子になっちゃったのかしら。。。」
私の斜め前にいた、佐美さんと思わしき人物は、2人に駆け寄りました。
「たぁ! なぁ!!」
作品名:そわそわと(双子と三つ子) 作家名:紀之介