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遅くない、スタートライン 第3部 第2話 9/18-2更新

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(5)

俺は幼稚舎の門を出て、園舎に向かって頭を下げた。またあきとも俺のマネをして頭を下げた。あきとの面接が決まった時に、竜生兄貴には連絡をした。そしたら…その翌日に竜生兄貴と奥様の久美子さんがカフェに来て、千尋さんの横で面接官になった。久美子さんも超綺麗だけど、姉御肌タイプで、千尋さんと速攻で仲良くなった。よぉ似てるわぁ!俺は千尋さんが2人になったと思い、思わず身震いがした。横の雄介義兄さんと健太郎義兄さんも俺同様…久美子さんを見て顔が引きつったそうだ。健太郎義兄さんの奥さんの舞子さんは喜んでたが!( 一一)

特訓が功をなしたのか、俺は面接の受け答えは躓くこともなくできた。竜生兄貴ご夫妻・千尋さんありがとうございます。

あきとの家に行き、お義母さんに報告をした。またお義母さんは夕ご飯を作っているから食べて行きなさいと言ってくれた。美裕に連絡し、俺はお言葉に甘えてスーツも脱いで、楽なカッコをさせてもらった。いつも車の中にスポーツジムのバックを積んでいるのを思い出して、ジャージウェアに着替えた。あきとも俺のマネをしたがって、美裕が買ってくれたジャージセットを着て俺とご飯を食べた。

俺とあきとが風呂に入ってる時に、風呂場の中のチャイムが鳴った。
「雅人さん!幼稚舎の園長先生から電話よ」エェ!!もぉ?まだ幼稚舎出てから2時間ぐらいしか経ってないけど?

俺はお義母さんが腕を伸ばして、コードレス受話器を渡してくれた。
「お電話代わりました。福田正人です」風呂場で俺の声が響いた。

「ばんざーい!ばんざーい」俺とあきとの声が風呂場に響いた。そうなんだ!無事にあきとは幼稚舎に合格した!
「やったぁ!あきやくんとみはるちゃんと遊べるぅ!」あきとにはそれも嬉しいわけね。

お風呂から上がって、バァバに抱きしめられたあきとの顔も嬉しそうだった。彩華があきとを手放す前から、この人がずっとあきとを育ててくれたんだ。あきとには毎月、施設に遊びに行かせようと思った俺だ。1人の孫の成長を楽しみにしていた老夫妻だからな。

俺はその日は、お義母さんのご好意に甘えて家に泊まった。初めてだ!あきとのベッドは狭いから、客間に布団を引いたらまたコイツがきた。自分の枕を持って、俺と寝る!と言って布団に潜り込んだ。昨日はおまえは美裕と寝ただろう!俺は隅っこで寝ましたよ!フンッ!

「今日はパパかぁ?みひろちゃんじゃないのか?あきと」
「うん。みひろちゃんはいないもん。いいでしょ」と言ったあきとだ。仕方ないな!一緒に寝てやるよ。

俺はあきとの体温が心地よくて、すぐに眠りに入った。
お義母さんは翌朝に俺にこう言った。
「ホントそっくりね。寝顔と口に手を持っていてゴシゴシするのも」
美裕も同じことを言ったことがある。あきとはどうやら俺にそっくりな子供らしい(笑)

あきとには旅行から帰ってきたら迎えに来ると約束をした。制服も間に合うかと思ったが、竜生兄貴のご長男(今は初等科3年生)の制服を久美子さんが大事に取っていた。それをありがたく譲って頂いたのだ。サイズもピッタリ!3組ずつ替えがあるから、美裕は1組だけ買い足せばいいのではと言った。旅行から帰ってきたら、あきと連れて買い物ツアーだ。また俺は部屋を一つ整理し、子供部屋を作った。俺と美裕の仕事部屋奥にウォークインクローゼットの部屋を(主に書棚として使っていた)あきとに譲ることにした。この家も改築か買いなおしを考えなければいけないな。当初はあきとを引き取るとはつゆにも思ってなかったし、俺達も子供は欲しいがまだ数年先の事と考えていたから。

書棚を整理しながらも、あきとの部屋作りを楽しんだ美裕だ。美裕はしょうたくんともあきとを重ねている部分もあると思う。生きていたら、あきとと同じ年で、あきとは9月生まれでしょうたくんは6月誕生予定だった。3ケ月しか変わらない…美裕の想いもわかるような気がした。

「あきとくん、喜んでくれるかな?」ミシンを踏みながら、あきとの好きなきアニメキャラクター生地で手提げ袋を縫ったり、お名前シールを貼ったりした美裕だ。俺も手伝ったけど。あきとは【ぬのかわ】の名字から【ふくだ】になる。その事をあきとに言ったら、意外と早くに【ふくだあきと】と言えるようになったんだ。面接の時も園長先生は無理してお父さんの名字を言わせることはいいと言った。あきとの気持ちを考慮してくれたのか、でも面接の時に【ふくだあきとです】とハッキリ言えたからな。お義母さん…教えてくれてたんだな!名前が変わることと…美裕の事も根気よくあきとにわかるように教えてくれたんだ。昨日のお風呂の中であきとが言ったんだ。

「バァバが、パパのおうちにいったら…」と話し出した。
美裕ちゃんと呼んでもいいけど、ママをつけなさいって。みひろちゃんママとか…みーちゃんママとでもいいからと。美裕にこの事を話すと、
「ムリに呼ばなくていいわ。あきとくんが自然に呼べるまで強要はしたくない」と言った。

俺もそれでいいんじゃないかと思う。俺も今は美裕の前だから「あきと」って呼んでるけど、赤ちゃんの時は【あっくん】と呼んでた。家に来たら、あきとを【あっくん】と呼んでみてもいいかな?

それから、俺達は出発間際まで【あっくん準備】をして、成田空港からハネムーンに出かけた。