遅くない、スタートライン 第3部 第2話 9/18-2更新
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あきとくんはパパであるマサ君に再会してから、キッズ携帯でマサ君と私に電話をかけてくれるようになった。電話したら「いま、いい?」って最初に聞くようにバァバに言われたようだ。私達も「いいよ」という時もあるし、忙しい時は「後で電話するね」と断ることもあった。あきとくんはそれをちゃんと理解してくれている。
兄貴達が通わせている幼稚舎に、あきとくんを入園させたいとマサ君は考えていた。私も賛成だ!あとはあきとくんの気持ちを聞かなければいけない。今日…マサ君はあきとくんを家まで迎えに行き、バァバことお義母さんに幼稚舎の詳細を話してくると言ってたな。私はカフェがあるので行けないが!
俺はあきとの家まで行き、車を置いてお義母さんと一緒に幼稚園に迎えに行った。今日初めて行くんだ…先生と顔合わせもあって、お義母さんが一緒に行こうと言ってくれた。転園の話もしないといけないから。
あきとは俺が迎えに来たことをビックリしていた。いつもお手伝いさんの松下さんだと思っていたから。
「ぱ、パパぁ!!」あきとが俺に飛びついてきた。はいはい!先生たちもビックリだよ。俺は今日は父親らしいカッコしてたもんな。美裕がジーパンはダメ!先生と顔合わせするんだから、ヒルズスタイルかネクタイしなさいと言われたからさ。ヒルズスタイルにしたんだ。でもネクタイも一応持ってきて、車の中で結んだ。
先生たち・迎えに来たお母さんの歓声が一段と大きくなった。俺…MASATO仕事以外はほぼすっぴん(笑)ブログにも素顔さらけ出しているしさ、すぐバレちゃった。美裕にもバレてもパパの対応しなさいって言われたもん。
「あきとがいつもお世話になっております。お約束もなしで申し訳ございません。あきとの父親の福田雅人です」
俺は園長先生と担任の先生にご挨拶した。ご挨拶が終わって、俺があきとを引き取ることになった事や、幼稚園の転園することを話した。先生たちは母親である彩華にも逢ったことがないし、父親の俺にも逢ったことがない。そりゃビックリするわ…親代わりのバァバも積極的に幼稚園の行事に参加できなかったしな。
あきとは俺と手をつないで、お友達や先生にバイバイをした。いつもなら先生にちゃんと帰る時のご挨拶をするあきとだが、俺が迎えに来たことですっかりハイテンションで、挨拶を忘れていた。そこでバァバに怒られて、俺の手を離し先生に帰る時のご挨拶をしたんだ。担任の先生は笑いながら、あきとの頭をなでてくれた。
家に帰ってから、バァバことお義母さんと先に話をして、お勉強が済んだあきとを呼んで、俺とお義母さんであきとに話をした。
「あきとぉ…今の幼稚園のおともだちと離れるのいや?パパと美裕ちゃんが住んでるところから、ここの幼稚園は遠いんだ。こんど行く幼稚園さ…」と俺は話し出した。ごめん…石田先生ちの息子のあきやくんとみはるちゃんの名前を出した方が話しやすいと思ったから。
あきとはよほど、あきやくんとみはるちゃんが好きなのか、2人と同じ幼稚園だとわかると「同じ幼稚園に行きたい」と言ってくれた。もっとゴネるかと思ってたからさ、お義母さんが言うにはまだ入園して3ヶ月だからじゃないと?家庭の事情で、同じクラスの幼稚園児と遊んだ回数も少ないと言った。言われてみれば、お手伝いさんの松下さんがママ友と幼稚園児にまで付き合いはできないよぉ。幼稚園の前で「バイバイ」って言うだけ…あきとにも後で聞いたらお友達の家とかには行ったことがないと。
あきとは俺に…
「みはるちゃんとあきやくんと、あそべるかな?」
「うん。幼稚舎でも遊べるし、遊ぶならお約束すればいいだろう。その時はパパが送り迎えしてあげるよ。美裕ちゃんもいいよって言ってた」
「ホント?」あきとの目が一層輝いた。
「うん。美裕ちゃんにも聞いてみたら?電話で」
俺はあきとにキッズ携帯を持たせた。あきとは美裕にも「いいよ」と言ってもらえて、ご機嫌でキッズ携帯をバァバに渡した。バァバは美裕と話がしたかったようだ。バァバはまだ気にしているんだ。自分の娘が産んだ子供のなのに、自分があきとが成人するまで成長を見届けられないってこともさ。また俺も離婚前の事をちゃんと入院中のお義父さんにも、頭を下げて謝った。お義父さんも俺に謝ってくれた。娘可愛さに娘の言うこと鵜呑みにし、俺を随分傷つけてしまったことも謝ってくれた。お義父さんとお義母さんには、あきとを今度入居する施設にも遊びに行かせることも約束した。お義父さん達は、東京郊外で介護付有料老人ホームに夫婦で入ることになっていた。
またお義母さんをお義父さんの病院まで送って行き、俺とあきとはそのまま、幼稚舎に願書を受け取りに行った。もうお昼を過ぎていたから、幼稚園児たちもいないかと思ったら、ミニグランドで先生と鬼ごっこしてたよ (*^^*) かわぇぇ!また先生もかわいい!卒業したて?おっと…何を言ってるんだ!俺…
あきとは鬼ごっこを興味深そうに見ていた。フェンスのそばにいた男の子があきとの顔を見て!
「あきとくんだ!」と叫んだ。あ、もしやこの坊ちゃまは…石田先生のご次男・あきやくんだ。あきとも名前を言われて驚いてたが、
「あきやくん!あぁ…みはるちゃんもいる。」嬉しそうな声を出した。
先生は俺に会釈をして、エプロンのポケットから職用携帯を取り出した。
あきやを連れて願書を受け取りに来ただけなのに、俺とあきとは園内を見せてもらえた。竜生兄貴のお心遣いもあって話も通っていたからか、園長先生にもお逢いできた。
作品名:遅くない、スタートライン 第3部 第2話 9/18-2更新 作家名:楓 美風