遅くない、スタートライン 第3部 第2話 9/18-2更新
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ハネムーンから帰国し、入国手続きをしている時にマサ君のスマホが鳴った。いやーん…こんな時になるなんて、以前のパターンから見て事がすごく大きいんじゃない?私とマサ君はスマホの画面を見てため息をついた。案の定…出入り口には三ちゃんと社長達と福永さん達がいた。なんでみんないるのぉ?
「しゃ、社長これどーいうこと?」俺は嫌な予感がしたが、社長に聞くしかないじゃないか?
「MASATO!落ち着いてきいてくれ。美裕ちゃん…MASATOの手を握って」社長…そこまで言う?そしたら福永兄貴がこう言った。
「社長…MASATOの場合はさ!」社長に何アドバイスしてんだよ?福永兄貴ぃ!
「トリプルでおめでとうございます!!MASATOさん!!」
「ご結婚おめでとうございます!MASATOさん!美裕さん」
「MASATOさん!スィーツ・ロード視聴率週刊ランキング1位おめでとうございます」
「MASATOさん!スィーツマジック!!ミリオンセラーおめでとうございます」
一気に言われた俺は…気絶しそうだったが。美裕に手を握ってもらっていたから、かろうじて耐えることができた。美裕も顔を赤くしながら俺にうなづいた。
「あ、ありがとうございます。嬉しいですぅ」と笑顔で俺も記者さん達に答えることができた。また美裕も赤くなりながらも、記者さん達の質問にも答えた。美裕の横には福永兄貴がいて、美裕をサポートしてくれた。
「あぁ…ここでちょっと場を借りていい?」福永兄貴がこう言えば、記者さん達の目は一層輝く?
「いいですけど、おめでたいニュースでしょうか?福永さん」記者の1人が質問した。
「もっちろんだ!」
「ま、マサ君!!しっかりしてぇ」美裕の声が聞こえたが、そこからはまたブラックアウトになった俺だ。
インタビューの後に俺は…福永兄貴の胸にまたダイブしてしまった。兄貴は予測してたんだな!後で聞いた話だが、兄貴達はインタビューが終わったらスタッフに記者さん達を部屋から出してしまった。その瞬間に俺は後ろにひっくり返ったそうだ。後ろには社長がいて倒れてきた俺を受け止めてくれた。
「ったくぅ( 一一)何回倒れたら気が済むんだ、MASATO」社長の怒ってる声が聞こえた。
「まぁまぁ…そのうち免疫つきますわ。うちの大ドンはMASATOが倒れるのも計算の内に入ってますよ。だから美裕ちゃんも同席させたの」
「もぉ…マサ君!しっかりしてよぉ!来週からあきとくんが来るのよ!あきとくんにそんな姿見せるのぉ?」
この美裕の声に俺は目を開けた。その美裕の声に福永兄貴達が笑ったのは言うまでもない。副社長が俺の車を運転して、俺は別の車で大ドンがいる局に連れて行かれた。美裕もだ!千尋さんが達が夕食を作って俺達の帰りを待ってるのに!俺が心の中で思っていることが福永兄貴にわかったみたいで、兄貴は俺の頭を指で小突きながら言った。
「大丈夫ぅ!千尋さんに連絡した!君の息子にも!」
「エッ?あきとに」俺と美裕は顔を見合した。
俺達が連れて行かれてたのは、高茂久グループ系列のホテルのブランケットだった。なんでだ?俺と美裕がエレベーターからでてきたら…大人の団体の中から、男の子が駆け出してきた。あ、あきとぉ?
「パパぁ!美裕ちゃん!!」あきとが俺達に手を振った。え、その横に千尋さんがいるぞ?
俺は駆け寄ってくるあきとを受け止めた。
「あ、あきとぉどーしたん?」
「ちひろおばちゃんが、バァバんちまでむかえにきたの」
千尋さんは…うんうんうなづきながら言った。
「春花さんから電話もらって、急で申し訳ないけどあきとくんと一緒に来てもらえないかってね。千尋さんファミリーも!健太郎義兄さんファミリーも!って」後ろから健太郎義兄さんとこの息子君・尚君(なおくん)に俺は抱きつかれ、美裕は妹のあんなちゃんに抱きつかれた。
「おめでとぉ!マサ君・美裕ちゃん」と笑顔で俺に言ってくれた 兄妹だ。
インタビューの後に、大ドンが【トリプルお祝い】をするから、ホテルのブランケットで待ってることと、今回のトリプルでMASATOが年末の恒例コンサートに参加することを福永兄貴がしゃべった。年末の恒例コンサートって!アレか!!ファクトリーマシャ・セントラルズ・フィットユーのコンサート?俺はそれを聞いてブラックアウト寸前になった!
記者さん達はそれを聞いて、会場から駆け出して行ったもんな!それだけスゴイ事なんだ!俺もまだ信じられないんだ!
また…それだけじゃない!俺…25歳の時に全国ツアーしたけど、ドームコンサートはしたことがなかった。その5大ドームコンサートが取れたと!バックスタッフに准・真吾・耕太が入ってくれると!またスペシャルゲストで兄貴達【大黒柱3人組】も出演するって。そりゃ…すごい事なんだよ!また准達の後輩・今超売れっ子の壮太君・直人君も出るとか?お…俺できるんか?
「大丈夫だって!俺らが出るよりいいだろう?」
壇上の桑さんに…あの桑さんスマイルをされ、氷室さんにも同様のスマイルをされた。場内は静まり返ったが、次の瞬間に拍手と歓声が響いた。俺はもぉ心臓バクバクで、横の美裕も俺の手をギュッと握ったままだった。俺より美裕座らさなきゃ…と思ったら、春花さんと美咲さんが来て、美裕を椅子に座らせてくれた。
「あ、ありがとうございます」俺は美裕の手を離した。
「私達が美裕ちゃん見てるから、大ドンのところにご挨拶行きなさい。あきとくん連れて」
「は、はい」俺はあきとを呼んで、桑さんと氷室さんに挨拶をした。あきとにも挨拶をさせた…あきとのご挨拶を見て桑さんと氷室さんが褒めてくれた。しっかりしてると!
俺は椅子を持ってきてもらって、あきとを膝の上に座らせて大ドン達と話をした。福永兄貴や竜生兄貴・圭吾兄貴も来て話もした。後で准達に手を引っ張られて、ワインやシャンパンを飲んだ。そこまで記憶あったけど…気がついたらホテルのベッドで寝てた。今回は准が俺をオンブしてベッドまで運んでくれた。美裕は事があるたびに、頭を下げている。美裕さん…すんません。
俺は夜中に目を覚ました。美裕はあきとの横で寝ていた…あきとも一緒にと、大ドンがスィートルームを取ってくれていた。美裕は俺が起きたのがわかったのか、俺のシャツの袖を引っ張った。
「すんません…毎回ご迷惑をおかけしまして」俺はベッドの中で頭を上下した。
「ったく…まぁ嬉しい出来事なので怒りませんがね。大ドン様たちが怒るなと言ってましたし、でもビックリだね」
「うん。俺さ…そんなことは業界でしたらルール違反だと思ってたんや。でも…」
実は…俺の所属してる音楽事務所の規模の話が大ドン達と話している時に出たんだ。また、この話は社長達も了解しているということだ。俺が所属してる音楽事務所の規模は小さかった。俺がデビューして軌道に乗った時に一時的に所属歌手は増えたけどさ。でも大きい音楽プロダクションにはかなわないんだ。ドームツアーや大コンサートやそれなりの事をするって言うことは、コネもツテもいる。もちろん資金繰りもさ!今の音楽事務所の規模では難しくなってきたんだ。俺の今後を思って、社長達は福永兄貴に相談したそうだ。俺がハネムーンに行ってる間に!
作品名:遅くない、スタートライン 第3部 第2話 9/18-2更新 作家名:楓 美風