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新・覇王伝__蒼剣の舞い2【第1話】

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 覇王となる前、彼も清雅と同じく野育ちの自由戦士であり、後に蒼龍の剣となる龍王剣を手に、民のために立ち上がった。その時の三人が、後に拓海たちの父となる男である。 世襲が決まりと云うわけではなかったが、後に嘗ての四獣聖を父とする名家の息子が同職に就いた事から、名家出身と云われるようになり、四獣聖は更にその存在を庶民から遠くした。
 その中にあって、清雅の存在は異質かも知れない。
 どう見ても、名家の息子には見えない。無類の戦い好き、口は悪く、放浪癖あり。
 玄武の狼靖を叔父とし養父と云う事がなければ、とてもこの優秀集団のそれも統括者になれない。
 __ありえない…。
 拓海は、不機嫌そうな男を前に嘆いた。
 しかも、この蒼国の国主・蒼王ときた。
 ついこの間も、一人で刺客の前にやってきた。助けに来たかと思いきや、その気はさらさらなく、拓海は初めての実戦を強いられたばかりだ。
 普通の人間では、彼の下には就けない。
 「セ・イ・ちゃん♪」
 「来るな。ぶった斬る」
 ___ありえない…。
 朱雀の焔は、普通ではなかった。
 救いは、側で微笑ましく笑う白虎の星宿と、冷静に観察している拓海の父、玄武の狼靖だ。
 「__白虎さま」
 蒼国・王城中庭。
 拓海は、一人木陰に立つ男を見つけて近づいた。
 「やぁ、拓海。一人かい?」
 「ええ、さっきまで朱雀さまに追いかけられてました」
 「焔に?ははは、君、彼に気に入られたんだね」
 「笑い事じゃありません」
 「いいと思うけどね。歳も近いし、剣の腕をあげたいのなら彼と稽古するにはもってこいだよ。吾も教えてあげたいが、あまり慣れていくてね」
 「そんな事、四獣聖の白虎ともあろうかと云う人が」
 「吾の剣は、稽古向きじゃないんだよ。何しろ、実戦が殆どだからね。つまり、稽古だろうと本気になってしまうこと。相手は堪らないさ。ついでに、清雅さまも同じだ。寧ろ、あの方の方が危ないかもね」
 リアルな己の想像に、拓海は血の気が引く。